日経平均は2万4000円前後まで下落の懸念がある もし大荒れになっても必ず「買い場」は訪れる

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ここを買いタイミングに挙げる理由は2つある。1つ目は企業業績などのファンダメンタルズ(基礎的条件)だ。ここでは過去のPER(株価収益率)のレンジに注目している。リフィニティブによると、TOPIX(東証株価指数)の12カ月先予想PERは12.9倍(同社予想、2月15日現在)。2012年から今年1月末までのTOPIXのPERの下限は約10.5~11倍だ(2012年年央に10.5倍、2016年初に11倍、2018年末に11倍、2020年3月に10.5倍割れと4回下限レンジを試した)。

今回、もし私の予想通りリスクオフとなった場合は少なくとも11倍までは覚悟しておくべきだ。ざくっとした予想PER11倍の株価イメージ試算だが、仮に1年後の1株当たり利益(EPS)の増益率5%増とすると、日経平均では2万4000円、10%増で2万5000円前後となる。なお、もし企業業績が悪化、減益予想になると、2万3000円を割り込むことも予想される。

2つ目はテクニカル分析だ。株価には節目というものがあり、過去の高値や安値で構成され、売り買いの需給も拮抗しやすいポイントになる。2020年以降の株価を振り返ると、同年のアメリカ大統領選挙直前(10月30日)の2万2977円から、2021年2月16日に3万0467円まで一気に急騰した後、同年8月20日2万7013円まで調整。同年9月14日に3万0670円のダブルトップ(二点天井)をつけて、今年初から1月27日2万6170円まで急落している。

残念ながら、下値になる節目は、2018年10月2日の2万4270円までないのだ。もし株価が今年1月27日の2万6170円を割り込むと、マーケットはパニック気味となり、2万4000円前後まで一気に下落する可能性がある。

一方、2万4000円台は、過去3回も高値となり、なかなか上に抜けない岩盤の節目だったことを思い出すべきだろう。2018年1月23日の2万4124円、同年10月2日2万4270円、2020年1月20日の2万4083円の3回だ。このあたりが止まりやすい株価帯であることは頭に入れておきたい。

世界的にみても、アメリカ株(とくにNASDAQ総合株価指数などのグロース株)は、インフレに伴う長期金利の上昇などの悪影響により、昨年11月22日の1万6212ポイントをピークに、直近安値である今年1月24日の1万3094ポイントまで、株価は19%も暴落した。

日本株も東証マザーズ指数が1月の1カ月間で23%暴落、去年10月14日の1368ポイントから1月28日の719ポイントまで47%暴落した。一方、TOPIXでみると今年1月は、TOPIXグロースは10%下落したものの、同バリューは0.5%上昇した。こうした傾向は、少なくともアメリカの長期金利上昇が止まるまで続くとみる。

個人投資家はどう相場に向き合えばよいのか

最後に、個人投資家がどのように相場に向き合えばよいのかを述べたい。今年は、新型コロナウイルスのオミクロン株、インフレ懸念、アメリカの金融政策、日米の選挙(参議院選挙、中間選挙)と人事、米中摩擦、ウクライナ問題など、株式市場にとってはリスクを挙げれば切りがない、非常に不透明な年だ。

私は、投資家が今までの延長線で物事(株価予想・投資戦略)を判断することが危険だと考えている。通常なら許容できるリスク(株価のブレ)を超える可能性があるからだ。

1月に起こった急落が、今年まだ1~2回あっても全然おかしくない。今年の残りの10カ月ちょっとは、株価のブレにも耐えることができる資産運用が大事になるはずだ。前の記事でも述べた通り、個々人の運用の上手下手がはっきりわかり、パフォーマンスに大きく差がつく1年になる。

それゆえ、もしきめ細かな売買ができそうもない投資家なら、無理をせず資産保全に徹するべきだと思う。今年に限っては、一時的には「現金で待機」もありだ。必ず心(気持ち)に余裕をもって、大荒れの株式市場と向き合ってほしい。「今年はどこかできっと大きな買いチャンスが来る」と信じて。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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