日経平均は2万4000円前後まで下落の懸念がある もし大荒れになっても必ず「買い場」は訪れる

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1月の株価急落は、もちろん主にアメリカの金融政策が引き起こしたものだ。1月25~26日、同国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は、3月の政策金利引き上げを示唆。以後毎回の会合(3・5・6・7・9・11・12月)での利上げ可能性を排除しない姿勢を示した。

市場の一部はゆるやかな金利上昇を期待していたが、タカ派的な内容となったため、株式市場は急落した。今後もFOMCは世界中の市場参加者にとって、最重要イベントとなりそうだ。

まずは上院でのFRB首脳人事承認が「関門」に

当面の注目点は、実は市場ではあまり話題になっていないが、FRBの首脳人事だ。アメリカの上院銀行委員会では、空席3つを含む以下の計5人のFRB理事の承認採決を、今週中に実施する方向で調整に入っている。

① パウエルFRB議長再任
② ラエル・ブレイナード理事の副議長への昇格
③ サラ・ブルーム・ラスキン元FRB理事の次期副議長(金融監督担当)起用
④ FRB理事に経済学者のリサ・クック氏を起用
⑤ 同理事に経済学者のフィリップ・ジェファーソン氏を起用

このうち焦点は、③のラスキン氏の承認採決の行方だ。彼女はバラク・オバマ大統領(当時)に指名され、FRB理事(2010~2014年)、その後は財務副長官を務めたことで知られる。

また彼女はリーマンショック直後の2009年1月開催の議会公聴会で「金融規制当局が消費者保護の視点を持つべきとの見解を示し、大きすぎる銀行の分割を支持。今年2月3日の上院銀行委員会の指名承認公聴会でも、金融機関に対するルール再検討に意欲を示した。一方、気候変動リスク低減で規制当局が果たす役割に関する自身の過去の発言について、釈明を迫られた場面もあった。野党・共和党からの承認を得られるか、注目だ。

いずれにせよ、計7人のFRB理事のうち3人が入れ替わるということは、次の3月のFOMCの決定メンバーが変わることを意味する。前出の指名承認公聴会でラスキン氏は「インフレ抑制は重要な責務だ」と強調、クック氏も今後のインフレ対応策を問われた。このように、新FRB理事によるインフレ対応策に注視する必要がある。

次ページ3月FOMCの結果次第で、日経平均2万4000円前後も?
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