株価の下落局面で投資家は何をすればよいのか 長期と短期では「何が重要なのか」は全然違う

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予想数値ではなくて、筆者の分析について、例えば「アメリカで金融緩和に慣れ切った投資家が、株式を含めたリスク資産に水膨れの投資を進めており、それが金融政策の正常化をきっかけに逆回転する」という着目点が優れている、という評価をいただけるなら、それは大変うれしいことだ。

そして、筆者の分析を参考にしていただき、その結果、筆者の見通し数値とはまったく異なる結論を、個々の投資家が自信を持って構築してくださるのなら、それに勝る喜びはない。

今、投資家はどう行動すべきか

さて、長期投資や短期投資で重要なことなどを述べたが、現状、投資家はどういったスタンスをとるべきだろうか。

日経平均は3月「頃」に2万5000円「前後」に下押しすると予想してはいるが、本当にそうなるかどうか、わかったものではない。売りで儲ける局面はせいぜい年初の2万9000円台からであって、今からでは遅い。新規で売りから入り大いに儲けようというのは、あきらめたほうがよいと思う。

むしろ、すでに相場下落で収益が膨らむポジションを構築しているのなら、「どのあたりで手仕舞い、勝ち逃げするか」をゆっくりと検討し始めるべき時期だ。2万5000円近辺まで必ず下がると信じ込み、レバレッジを大いにかけた取引で尻尾まで儲けようと欲にとらわれると、例えば2万5000円より手前で市況が急反転し、損失を被るという結末も否定できない。

逆に、そろそろ底値の「辺り」で何を買おうかと楽しみつつ研究し、ゆっくりと買いためていく時期に入り始めていると考える。最安値で一気に買うことは不可能だ。

こうした考えは、何も自身の見通し数値に対する批判から逃げようと思って言っているわけではない。筆者の見通し数値が寸分の狂いもなく当たると信じ切り、レバレッジをかけた投資で大損をして不幸になる、といった投資家が増えてほしくないからこそ、述べている。

とはいっても、投資は自身で判断すれば、何をするのも自由だ。筆者の「こうしたほうがよい」との主張に従わなくてもよい。ただ、「馬渕さんの見通しどおりに売買して損をした、すべて馬渕さんが悪い」と非難するのも自由だが、筆者を責めたところで被った損失が減るわけではない。

(当記事は会社四季報オンラインにも掲載しています)

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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