株価の下落局面で投資家は何をすればよいのか 長期と短期では「何が重要なのか」は全然違う

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3つ目は、日本銀行の金融政策だ。欧米主要国では、足元のインフレに対応して緩和縮小の構えを示す中央銀行が増えている。一方、日本では金融政策の変更は見込みがたい。日銀は2月14日に10年国債を0.25%で無制限に買い取る(利回りの0.25%超えを容認しない)と、先週末に通知した。「現状の金融緩和政策をいっさい変えない」との姿勢だ。

欧米諸国と日本の金融政策の差は、コスト増によるインフレが景気に与える悪影響の差に基づくと解釈している。

どの国でもインフレは企業や家計の購買力を削ぎ、景気悪化要因ではある。だが、例えばアメリカでは、企業はこれまでと同様、コスト増を販売価格に躊躇なく転嫁し、企業収益を防衛する。家計は「値上がりが続きそうだから、今のうちに買おう」としがちだ。手元の現金が不足していても、「賃金が上がっているのだから、クレジットカードやローンで購入しても、将来の所得増で容易に返済できるだろう」と考える。

一方の日本では、企業は値上げすれば売れ行きが落ちると懸念し、「企業努力」により値上げを極力回避しようとする。結果として、企業収益が圧迫される。加えて、この「企業努力」には従業員の賃金抑制も含まれる。そして家計は、大幅な賃金上昇を見込みにくいため、企業が耐えきれず価格を引き上げると、「節約に努め、購買を大いに削減しよう」と防衛的になりやすい。

こうして、日銀は動きが取れない。それが海外投資家の目には「利上げすらできない情けない日本」と映り、日本株への投資を手控えることにつながっていきかねない。

長期投資で最重要なのは期間ではなく市場見通し

では、そうした見通しを踏まえ、投資家はどうしたらよいのだろうか。その前提を少し長く述べたい。まず、長期投資と短期投資において何が最も重要な要素であるかについて、誤解している方が多いように感じる。

長期投資に関しては、毎月積み立てで資産を購入していくか、それとも手元にまとまった資金があれば一括して投じるのか、といった投資手法の議論が目に付く。また、短期的に市場が変動しても、長期的に保有すれば変動がならされるから大丈夫だ、という意見も多い。

しかし、長期投資において最も肝心なのは長期の市場見通しだろう。極端な例を挙げるが、隆盛だった企業が破綻に向かい、最終的に株価がゼロになるのなら、その銘柄に分割して投資しても、一括して投資しても、損失を被るだろう。長期間保有しても、報われない。特定の新興国投資などでも同様だ。

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