【産業天気図・人材サービス】リーマンショック後の最悪期を脱出、緩やかな回復続き終始「晴れ」へ。M&Aや非上場化など再編の動きも

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10年10月~11年3月 11年4月~9月

人材サービス業界は、2008年9月のリーマンショックを機に人材派遣需要の激減に見舞われた後、09年度後半からゆるやかな回復基調が続いている。景況感は10月から1年通じて「晴れ」となる見通しだ。ただ「快晴」に改善するには、派遣分野ごとに散見する懸念材料がネックだ。

目下、もっとも回復が著しいのが、製造業派遣分野だ。同分野は改正派遣法案で原則禁止対象となっているが、法改正は事実上頓挫。一方、自動車や電機メーカーの生産回復に伴い、UTホールディングスやアウトソーシングなど主要各社の業績回復が鮮明になってきている。ただ、9月末のエコカー補助金終了や円高による国内生産の空洞化など、懸念材料は少なくない。一般事務派遣と製造業派遣を合わせ持つフジスタッフ・ホールディングスは、オランダの大手人材サービス企業に買収されることになった。

一般事務派遣は2009年度第4四半期(10年1~3月)に新規の需要が好転し始めた。そうした動きを踏まえて、大手のテンプホールディングスやパソナグループの同事業はゆるやかな回復局面に入った。ただ、登録型の一般事務派遣は、働いた日数分だけ給与を払う形態であるため、赤字になりにくい分、現時点では大きな回復も期待しにくい。

技術者派遣も緩やかな回復局面。技術者派遣は、派遣会社が雇用年限の定めのない正規社員として雇用したうえで顧客企業に送り込む「特定派遣」という形態。リーマンショック以降の不況期には多数の非稼働技術者を抱え、業績の急悪化に直面した。その後、自動車や電機など派遣先企業の需要回復とともに非稼働技術者も減少している。

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