なお、『バチェラー・ジャパン』など見慣れた恋愛系リアリティーショーによくあるスタジオの解説トークパートはありません。お笑い芸人の藤井隆と女優の板谷由夏がナビゲーターとして番組に参加しますが、言わば仲人役として節目に登場するのみです。物足りなさは否めませんが、リアリティーショーに欠かせない中毒性は十分に備えています。
「あなたにしか言ってない」は信用できない
『ラブ・イズ・ブラインド JAPAN』を見進めるうちに中毒性を帯びるのは、婚活の本質に触れた会話が見られることにあります。儀式的にステップを踏んでいくものの、参加者の心情はつねに複雑。外見を見ずに相手を選んだけれど、それぞれ結婚に外せない条件との葛藤に苦しむ様子を赤裸々にカメラが追います。かつての『テラスハウス』のような人間心理に迫っていく番組です。
参加者24人の内訳は、女性11名、男性13名。女性の年齢は、下は26歳から上は39歳まで、男性は23歳から56歳まで(撮影時の年齢)と幅広く、職業もバラエティーに富みます。お笑い芸人などテレビ的な選ばれ方から医者、会社経営といった高収入をイメージさせる仕事や、営業や美容師など身近な職種までさまざま。それぞれの結婚に対する条件もさまざまです。
例えば、起業家のプリア(27歳) さんは仕事観や金銭感覚にシビアな一面を見せています。ビジネスプランナーのミドリ(30歳)さんは結婚後もいかに独立心を保つことができるのか、そんなこだわりがあります。また宮﨑薫の名で活動するシンガーソングライターのカオル(31歳)さんは家族観に対して特殊な事情を抱えています。男女ともに子どもを持つか、持たないか、子どもは何人が理想なのかなど結婚の先にある条件も含めてすり合わせていくのはなかなか困難なものです。とどのつまり結婚相手に求めるものって何だろうと迷いも生じます。
相手を選ぶ中で、ドキっとさせられる発言もありました。「『あなたにしか言ってない』って、それをみんなに言っています。ってなると信用できない……」。最年少のメンズ専門美容師のユウダイ(23歳)さんが発言した言葉でした。相手に求めるものはプロファイル以上に「信頼」であることに気づかされるものです。一方で、「相談されてばかり……」と嘆くコンサルタントのシュンタロウ (56歳)さんは信頼はされるものの、一歩踏み切れない様子。迷いのドツボにハマっていく“恋愛あるある”が随所に散りばめられています。
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