4日行われた北京冬季五輪の開会式では、ウイグル族のジニゲル・イラムジャン選手が聖火リレーの最終走者の1人に選ばれた。新疆ウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)が起きているとの欧米の主張に、中国が挑戦するという明確なメッセージを発したわけだが、これより目立たない形で国内の少数民族に対する政策も強められた。欧米との摩擦は一段と激しくなる可能性がある。
ビジョンは皆が中国と共産党に忠実であるという均一性
開会式では中国政府が認定している全56の民族の代表が愛国的調和を示す行為として、中国国旗を手渡していく場面が見られたが、少数民族の間で共通のアイデンティティーを構築しようとする習近平国家主席の取り組みの本質を捉えている。
新疆ウイグル自治区で採用されている政策は原則として、チベット自治区や香港、内モンゴル自治区、民族的・文化的に大きく異なる他の地域に至るまで、中国国内の全てに適用され得るということをこの場面は示している。こうした政策には学校内での少数言語の使用制限や「習近平思想」のカリキュラム採用、宗教的慣習の縮小、一部での民族衣装の着用抑制が含まれる。
「ジ・インベンション・オブ・チャイナ」などの著作があるビル・ヘイトン氏は、「習主席が描く中国のビジョンは皆が中国と共産党に忠実であるという均一性だ」と話す。
米国では昨年12月にウイグル強制労働防止法が成立し、強制労働で生産されたものではないと企業が証明できなければ、新疆ウイグル自治区からの産品輸入が禁じられることになったため、企業にとっては中国の少数民族政策がより重要になっている。
米国でウイグル強制労働防止法が成立、新疆産品の輸入は原則禁止
この法律は「あらゆる特定可能な民族、または宗教グループ」の迫害を防ぐことを米国の政策が目指すことを確認しており、少数民族が抑圧されていればこうした措置が他の地域にも広がる可能性があることを示唆している。