ドクターホワイト「浜辺美波」がドハマりする理由 彼女にしかできない役どころがドラマ最大の魅力
白夜が無垢であるからこそ、勝地涼や片桐仁や小手伸也などが演じる濃いキャラが立ち、シンプルなストーリーも白夜が無垢過ぎるからこそ、ただのシンプルな医療ものではなくなっている。余計なことをしないことが重要であると同時に極めて難しい。人間はどうしたって動いてしまうものだから。だが浜辺はできるだけ無表情でひたすら何もしないでいる。『シン・仮面ライダー』とつなげるわけではないが、同じ庵野監督作・エヴァンゲリオンの綾波レイみたいな線を『ドクターホワイト』の作り手は狙っているように感じる。
エヴァの綾波レイはシリーズごとに若干違いがあるが基本的には戦うことをプログラミングされていて戦いには優れているがそれ以外の日常生活に関する知識に乏しい。哀しいときに涙を流すとか、楽しいときに笑うとか、心がポカポカする状態を体感するとか、そういうことを知らなかった綾波。クールに口をすぼめて棒立ちしていた彼女に豊かな表情が加わっていく。
どちらかといえばジブリアニメの少女という印象
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の綾波は猫の存在も知らなかったり、赤ちゃんをはじめて目の当たりしたり、田植え仕事をしたりして、だんだんといろいろなことを知っていく綾波に好感をもつ観客は多かったようだ。とりわけ若い世代に支持されたとか。余談だが、今期のドラマで『ゴシップ』(木曜22時〜 フジテレビ系)で黒木華が演じるヒロインも綾波のようにぽそぽそっと喋る。これってコロナ感染予防対策ではないかと筆者は勝手に思っている。シン・エヴァの大ヒットにもあやかれるし飛沫も飛ばないし、一石二鳥であろう。
ただ、綾波は『ドクターホワイト』で白夜が小走りするとき手首を微妙にそらすような、あどけなさというか少女らしさというかのクリシェのような動きをするようなことはしない。そこはどちらかといえばジブリアニメの少女という印象がある。例えば『千と千尋の神隠し』の千尋が最初に親と離れて両親を探すときの手首がそんな感じだ。まったく同じではないけれど手首の反らし――要するにそこに自意識がある動きである。
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