ドクターホワイト「浜辺美波」がドハマりする理由 彼女にしかできない役どころがドラマ最大の魅力
『ドクターホワイト』(月曜22時〜 フジテレビ系 制作カンテレ)は見る人を選ばない間口の広い1話完結の医療ドラマである。逆に言えば、これといった特徴がない。いや、特徴はただひとつ――主演の浜辺美波の魅力で一点突破しようとしている極めて潔いドラマなのだ。
(※ここから先は一部ネタバレを含みますので、これから初めてご覧になる予定のある方はご注意ください)
浜辺美波は2011年に俳優オーディション・東宝シンデレラでニュージェネレーション賞を受賞し、2017年、映画『君の膵臓をたべたい』で注目された。儚さと凛とした強さを兼ね備えた俳優である。2023年公開が予定されている庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』のヒロインにも抜擢された。真っ赤なコートに白いロングブーツを着こなすビジュアルはひときわ輝きを放っている。
大人があどけなさを演じる貴重なドラマ
『ドクターホワイト』で浜辺が演じる役は記憶を失っているらしいミステリアスな人物・雪村白夜。医療雑誌のジャーナリスト・狩岡将貴(柄本佑)が倒れている白夜を発見、幼馴染・高森麻里亜(瀧本美織)の父・高森巌(石坂浩二)が院長をつとめる高森総合病院に連れていく。
自分が何者か記憶のない白夜。身体的には成人だが、知識がまるでない。赤ちゃんか野生動物のように言葉や社会常識などをほとんど知らず、見聞きするもの何もかもに物珍しい表情をして自分では何もできない。それが、こと医療に関することだと俄然、表情が真剣になり、些細な情報から病名を推察し、医者の誤診を未然に防ぐ。
浜辺演じる白夜は妖精のような、お姫様のような、非凡な雰囲気で登場し、虚ろな瞳でおぼつかない言葉を操る。いまや子役が大人顔負けのしっかりした演技をする時代に大人があどけなさを演じる貴重なドラマである。
これは誰でもできる役ではない。タイトルバックの白夜を描いた0楼による絵にこんなにもハマる人もなかなかいないだろう。「お人形のようだ」という褒め言葉があるが、浜辺美波は漫画から拔け出てきたような風情がある。それでいて首元にあるホクロがちょっと生々しくて、そこがまたいい。さらにいえば、無垢といってもそこはかとなく漂う知性がある。
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