日本の住宅設備「デジタル化が進まない」根本原因 「スマートホーム」が本格普及しない理由とは

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三菱地所では、そうした状況を打破すべく、アメリカのベンチャー企業YONOMIのAPI連携技術を導入し、リンナイ、スマートロックのライナフ、赤外線コントローラーのLiveSmartなど多くの企業の協力を得てIoT連携基盤を開発し、ビックカメラグループとの協力による設置・設定、コールセンター機能をパッケージ化して「HOMETACT」を立ち上げた。

「これまでさまざまなスマートホームサービスと連携してきたが、三菱地所の開発スタンスは他社とは違っていると思う。当社製品が採用されるメリットだけでなく、新しいサービスを開発するために必要なデータ提供などに応じることにも魅力を感じた」(リンナイ情報システム部部長・山本浩樹氏)

三菱地所は自社の賃貸マンションから同サービスを導入したが、将来的には他の住宅供給会社にも同サービスを提供していく計画だ。「HOMETACTはIoT連携に積極的な参加企業と協力しながらエコシステムを構築していく」(三菱地所の住宅業務企画部主事・橘嘉宏氏)と、まさに「共助」のビジネスモデルを構築したうえで、メーカーや住宅供給会社を巻き込みながら、集合住宅を中心に日本の住宅市場にスマートホームを定着させていく戦略だ。

日本社会がDXできるかどうかの試金石に

これまで「スマートホーム」を普及するために、2017年に東急グループ、パナソニック、美和ロックなどが設立した団体「コネクティッドホームアライアンス」など、さまざまな取り組みが行われてきた。

しかし、「いざデータ活用のあり方などを検討しようとすると、議論が前に進まなくなる」(アライアンス参加企業幹部)と、期待される成果を出せていないのが実情だ。

はたして日本の「スマートホーム」は「共助」のビジネスモデルを構築し、飛躍することができるのか。まさに日本社会がデジタルトランスフォーメーション(DX)できるかどうかの試金石になる。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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