活況の国産ビンテージ、旧車とカスタムの親和性 レストア+αの復元が旧車ブームを牽引する

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セリカLBのエンジンルーム(筆者撮影)

故障により高額な修理費用などが発生した場合を考えると、中古車を個人で所有するよりも、キントを利用したほうが安心で、リーズナブルなケースも多いだろう。しかもセリカLBなら、2000GTのように、中古車オークションで1億円近い価格で取引される高額なビンテージカーと比べれば、気軽に乗れる。担当者いわく、「2000GTは一生に1回、少しの時間でもいいから乗れればいいという方が多いですね。一方、セリカLBは、日常の足も含めて、長い期間乗ってみたい方が多い傾向です」という。セリカLB以外の車種があるのか、さらに新サービスの開始時期など詳細は未発表だが、もし実現すれば、かなり多くの旧車ファンが注目するのではないだろうか。

会場を見渡せば国産の旧車・名車が目立ったTAS2022

ロッキーオートの2000GTレプリカ「ロッキー3000GT」(筆者撮影)

ほかにも、例えば、愛知県のロッキーオートでは、トヨタ・2000GTや日産・スカイラインGT-Rの2代目、通称「ケンメリGT-R」(1973年発売)を忠実に復刻したレプリカモデルを展示していた。いずれも中古車市場のタマ数が極少で、あっても高額な価格で取引される貴重なモデルだ。

ロッキーオート製作のケンメリGT-Rのレプリカモデル(筆者作成)

旧車のレストアなどで有名な同社では、そうした2モデルを「どうしても手に入れたい」といった顧客のニーズに応じて製作。2000GTのレプリカ「ロッキー3000GT」は、フレームもオリジナルで製作したという力作で、車体価格が2000万円を超えるにもかかわらず、現在バックオーダーを抱えているという。

以上のように、国産旧車の高い人気は、アフターパーツ市場にも、多くの影響を与えている。旧車は基本的に再生産されないため、その数には限りがあり、新型車や高年式のモデルと比べると、製品などの販売量自体はしれている。それでも活況をみせているのは、たとえユーザーが少数でも、高額な製品やサービスにも需要があることで、ビジネスとして成り立つためだろう。値下げ競争になりにくいため、利益幅を多くとることも可能だ。

数十年前に比べ、新車の販売台数は減り、クルマのカスタマイズ愛好家も縮小傾向にある今、アフターパーツ市場は新しいビジネスモデルの構築を模索している。そんな中で、トレンドのひとつが新車ではなく、古いクルマを起点としたものであることも興味深い。まさに温故知新、「古き(クルマ)をたずね、新しき(ビジネス)を知る」だ。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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