活況の国産ビンテージ、旧車とカスタムの親和性 レストア+αの復元が旧車ブームを牽引する

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スピードフォルムが製作したS30型フェアレディZのエンジンルーム(筆者撮影)

国産旧車のスポーツカーにカーボン製品を用いたり、競技車両的なスタイルに仕立て上げたりするカスタマイズは、古くからのモータースポーツ愛好家が多いことも大きな要因だろう。とくに旧車は、純正部品が入手しづらい。であれば、「いっそのこと好みのスタイルに作り替えてしまおう」といったニーズも十分にある。国産旧車向けの外装パーツが数多く作られている背景には、そうした純正部品の稀少性と、顧客の嗜好性が大きく関連しているようだ。

ないものはワンオフ、一点ものの機能系パーツ

チューニングパーツメーカーのトラストが展示していたセリカXX(筆者撮影)

今回のイベントには、国産旧車向けにエンジン系や吸排気系など、走行するために必要な機能部品についても、さまざまな製品が展示された。例えば、有名チューニングパーツメーカーのトラストでは、トヨタが1981年に発売した2代目「セリカXX」に、オリジナルのマフラーやエキゾーストマニホールドなどを装着した車両を展示していた。

セリカXXのエンジンルーム(筆者撮影)

これら部品は、同社が行っているサービス「グレッディ ファクトリー(GReddy FACTORY)」のプロモーション用として製作されたもの。このサービスは、モータースポーツで培った同社の技術や経験を活かし、特注で少量生産のワンオフパーツ、またはレース用車両の製作を請け負うものだ。ビンテージカーなどに特化したものでなく、新型車などにも対応するが、旧車の復元にも最適なサービスだといえるだろう。

セリカXXのホイール(筆者撮影)

国産旧車は、前述の通り、生産終了となっている純正部品も多いが、それは機能系パーツでも同様だ。車検を通したり、実際に車両を走らせたりするには、高価な一点もののパーツでもありがたいと思うオーナーも多いはず。国産車でもビンテージカーの愛好家には、富裕層も多く、趣味のクルマにかかる費用などに糸目を付けないユーザーも少なくない。当サービスは、同社が持つ技術力を、そうした近年の潮流にうまく適合させた好例といえるだろう。

トヨタ・ガズーレーシングが展示していたGRヘリテージパーツ(筆者撮影)

機能系パーツの展示では、ほかにもトヨタ傘下のスポーツ車関連企業トヨタ・ガズーレーシングのブースに、同社が手がける「GRヘリテージパーツ」で販売する旧車の復刻部品も並べられた。GRヘリテージパーツとは、トヨタのいわゆる名車と呼ばれる生産終了モデルの純正部品を復刻し、長年乗り続けるユーザー向けに販売するサービスだ。ラインナップには、1969年発売の名車「2000GT」をはじめ、「スープラ」では1986年発売の3代目(A70型)と1993年発売の4代目(A80型)、1983年の「カローラレビン/スプリンタートレノ」(AE86型、いわゆるハチロク)などの復刻部品を用意する。

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