ゴルゴ松本、運命変わった「タカさんのある一言」 突然、目の前に浮かんで見えた「命」誕生秘話
芸能界入りのきっかけ
野球漬けの生活を終えた高校3年の秋、僕は無性に芸能界に入りたくなりました。テレビを見ていて、“あっち側”の人間になりたいなと。父親も担任の先生も驚いていました。「おまえ、もともとは大学に行って教師になるって言ってたよな」「何を夢みたいなことを考えているんだ。現実を見ろ」。
みんな否定の言葉を返してくるけれど、僕はつねに「ポジティブ」です。心の中でつぶやいていました、「やってみたいんだ」「やってみなきゃ、結果はわかんないよ」。まわりを納得させるために一応、受験はしましたが、僕にはその気もやる気もまったくない。そのとき、未来の僕がささやいていたのかもしれません、「おまえは大学に行かなくてもいいんだよ」……。やはり(?)受験は不合格と相成りました。
埼玉から東京に出て役者修行を始めました。とくに役者になりたかったわけでもなく、芸能界に入って売れたい! ただそれだけ。親や先生が心配するはずです。けれど、僕にはその動機で十分でした。
売れない役者をやっていた22歳のとき、たまたまよしだアパートの隣の部屋に越してきたのがレッド吉田でした。あちらは京都出身、僕より2つ年上の24歳。お互いに野球で甲子園に行った経験があり、何より芸能界で一旗揚げたいという共通の夢をもっていたので、すぐに意気投合。
似たような境遇で出会った2人ですが、役者をやっても芽が出るでもなく、まったく食えません。家賃3万2000円のアパートに住み、アルバイトで日々の生活費を稼ぎながら、それでも苦しいとは思いませんでした。先にもお話ししたとおり、高校の野球部時代のつらさを思えばへっちゃら、別にどうってことはなかったのです。
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