かっぱ寿司が迷走、どうなる「3度目の身売り」 経営権をめぐり思惑が激しく衝突
神明の藤尾益雄社長はカッパの創業家を前に、「今のカッパは合理化しかしていない。私が乗り込んで変えるしかない」と言い放った。
これに「そこまで言うならやってみろ」と創業家側も応じたことで、藤尾社長は元気の法師人社長とともにカッパのトップに就任。改革に乗り出した。
業界全体が成長鈍化
ただ、その前途は極めて不透明だ。これまで低価格を武器に伸びてきた回転ずし業界も「成長が鈍化している」(スシローの豊崎賢一社長)。一方、スシローとカッパの統合に失敗したゼンショーは自前で「はま寿司」を開発し、年間50店超の高速出店で業界4位へ浮上。業界3位のカッパも視界にとらえる。
回転ずしは企業によって「食材配送の温度から酢飯の調合までまるで違う」(前出のカッパ関係者)。カッパと元気が提携しても相乗効果は薄いというのがもっぱらの見方だ。経済合理性を優先し、カッパの不採算店を元気の主力業態「魚べい」に転換する動きも出てきた。
だが、統合の名の下に「かっぱ寿司」の看板が減っていくことに創業家は内心穏やかでないはず。保有株の売却で、創業家とカッパとの間に資本関係はなくなったが、すしネタ用の加工食材を製造するカッパ子会社の株式は保有したまま。業務上は隠然たる影響力を持ち続けている。
赤字に陥るたび、創業家主導で身売りを模索してきたカッパ。方向の定まらないその姿勢が同社に混乱を生じさせている。どのグループに入ろうとも、カッパの先行きは平坦なものではない。
(「週刊東洋経済」2014年10月25日号<10月20日発売>掲載の「核心リポート01」を転載)
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