「つぶしがきく仕事」ばかり選んだ50代社員の末路 リストラ対象者と向き合い知った「人生の残酷」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

僕にも勤務先が倒産した経験がありますが、その時には、いきなり会社から放り出されて「自分の市場価値」というものに直面しました。ある日突然、「お前は何ができる人間なのか?」という問いに、正面から向き合わされたわけです。まさに「目を背けていたもの」を直視しなければいけなくなった瞬間でした。

転職にまつわる笑い話があります。「あなたは何ができる人ですか」という面接での質問に、答えに窮した求職者が「部長ならできます」と答えて失笑されるというジョークです。僕はこれ、リアルにそういう人がいるので笑えません。

先ほどのように「つぶしがきく選択」をし続けてきた人たちは、マーケットを俯瞰して自分について考えることを怠っているのではないでしょうか。それゆえ、自分は「その他大勢の一人」であり、市場価値が不明確なコモディティ化した人材だということに気づいていません。

そして、そういう人材は、転職市場では大切に扱ってもらえないという厳しい現実にも無頓着なのです。

漫然と会社の指示に従うリスク

漫然と会社の指示に従うことのリスクはここにあります。そしてそのリスクは、不景気になると突然、露呈してくるのです。会社や事業が丸ごと消えてしまい、ポストが干上がるからです。

『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』(扶桑社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

そうなってからいざ転職しようとしても、なかなかうまくはいきません。望むようなポジションを見つけられなかったり、実際の市場価値とは乖離した水準の給与をもらっていた人は、望むような仕事内容でも待遇だけは落とさざるを得なかったりします。

つぶしがきく選択肢をとり続けた結果、皮肉なことに、選択肢と可能性がつぶれてしまう。ある日突然、にっちもさっちもいかないような状況に追い込まれてしまう。まさに「キャリアのパラドックス」とでも言うべき事象が、現実に起きてしまいます。自分の意思で何も選んでこなかった人は、誰からも選ばれないのです。

森山 大朗 SmartNewsテクニカルプロダクトマネジャー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もりやま たいろう / Tairo Moriyama

早稲田大学卒業後、リクルートや新規サービスの立ち上げを経て2013年に株式会社ビズリーチに入社し、求人検索エンジンの開発を担当。2016年から株式会社メルカリでJP/USの検索アルゴリズム改善やAI出品機能を開発しHead of Data/AI/Searchとしてエンジニア組織を統括。2020年からスマートニュース株式会社でテクニカルプロダクトマネージャーとしてダイナミック広告の開発をリードしつつ、メルカリShopsを開発・運営する株式会社ソウゾウを支援。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事