相模鉄道、悲願の東京乗り入れ 懸案は横浜駅の地盤低下
相鉄は76年にいずみ野線を開業(二俣川-いずみ野。湘南台まで全線開通は99年)し、沿線で大規模な住宅地を分譲した。バブル期には、緑園都市で1億3000万円もする住宅が売り出され、人気が急騰した。だが、路線が短いこともあり、東急田園都市線のようなブランド力を獲得することはできなかった。
横浜駅での乗り換えという不便さがある相鉄にとって、相互直通は起死回生の一手。沿線価値向上という点でプラスだが、懸念もある。相鉄の利益の主柱は不動産業。10年3月期は6割近い利益を不動産で稼ぎ出した(下の円グラフ)。中でも貢献度が大きいのが、横浜駅周辺に保有する賃貸ビル。相互直通で横浜駅へ足を運ぶ人が減れば、この地区の地盤沈下が起こり、不動産賃貸収入に陰りが出る可能性もある。相互直通は相鉄にとって両刃の剣だ。
横浜駅には相鉄のほかJR、東急(みなとみらい線と相互直通)、京急、横浜市営地下鉄が乗り入れる。1日の利用者数は200万人を超え、駅周辺は全国有数の商業集積地だ。大型百貨店の高島屋とそごう、専門店ビルの相鉄ジョイナス、東西に地下街(ポルタ、ザ・ダイヤモンド)と、JRの駅ビル(ルミネ、シァル)がある。高島屋横浜店は高島屋全店で最大の年商を誇り、全国の百貨店でも5位。高島屋をはじめ、相鉄ジョイナス、相鉄横浜駅などが入る新相鉄ビルは、相鉄が保有する全国屈指の大型商業ビルだ。また、坪効率の高い地下街であるザ・ダイヤモンドも相鉄が所有、運営する。相鉄は横浜駅西口最大の大家なのだ。