日本とイギリス「コロナ対策」こんなにも違う背景 新規感染10万人でもマスク着用義務撤廃へ

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2020年3月末、政府はコロナ感染防止のために全国的なロックダウンを課し、国民は不要不急の外出を禁じられた。コロナ感染の恐ろしさと規則破りには罰金が科せられることもあって、国民は神妙にこれに従ったが、経済が大きく停滞し、家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)の報告件数が急増した。子どもは行き場を失った。高齢者施設や遠方に住む家族に会えなくなり、親あるいは祖父母の死に目にあえなくなって、数々の悲劇が発生した。

国民の経済活動や自由な行き来を規制する動きは、「あってはならないもの」であり、コロナ対策が進んだら、解除されるべきもの、という社会的認識があった。

ジョンソン政権にとって、「ワクチン開発・接種拡大によるコロナ退治」と「経済・家庭生活の復活」は、国民が強く望む、大きな政治課題である。いつまでも規制が続いたら、国民の不満感が高まり、経済も回復不可能なほどに停滞し、財政出勤の額が巨大となって大きな負債になり、ひいては政権崩壊の芽を作ってしまう。そこで、この数カ月、「いつ、規制を解除するか」が最優先の課題となっていた。

とはいっても、政治家の判断だけで規制解除はできないので、科学者・医療関係者らとの相談のうえ、毎日のコロナ状況のデータ開示、3回目のワクチン接種への呼びかけを経て、今月末からの段階的解除にたどり着いた、というわけである。

屋外でマスクをしている人はまばら

日本ではレストランに入ると、それぞれのテーブルがアクリル板で仕切られ、テーブル上のタブレットを使って注文するという徹底的に人手を少なくする試みがある。イギリスはそこまではやっておらず、ウェイターやウェイトレスがマスクをしていたり、レストランや病院の待合室などでは座席設定が以前よりは空間があくように設定されたりなどだった。

しかし、今月末からの「解禁」で、レストランやカフェの様子を外から見ると、マスクを付けている人はほとんどいない。バスや電車、小売店内ではマスク着用の人はいる。戸外でのマスク着用は義務ではなかったが、付けたり外したりが面倒な人や筆者のように寒いからという理由で着用して歩く人がいるぐらいだ。

筆者の隣人で保育園に子どもを毎朝連れていくケイティさんは、「毎日毎日、検査して、陰性だったら、連れていける。疲れた。早くこれも終わってほしい」という。

1日に10万人という、イギリスの新規感染者数は非常に多いように聞こえる。日本のことを考えると、「なぜもっと大騒ぎしないのか」、「規制解除どころじゃないだろう」と思えてしまうかもしれない。しかし、イギリスの政府と国民は「コロナと生きる」を選択し、終息をじっくりと待つ体制に入ったようだ。

 (*規制緩和の詳細については、1月28日時点の情報を元にしている)

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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