「経費で落ちる領収書」「落ちない領収書」の違い 「相手の印鑑がなくてはダメ」というのは誤解

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基本となる認識として、事業と関係のある支出は、すべて経費計上できることは、おわかりいただけたかと思います。

会社の場合、「事業と関係のない経費」について、経費に計上することができないように見なされがちですが、事業と直接関係のない支出であっても、一定の条件を満たしていれば、経費とすることができるのです。「福利厚生費」として支出できる要件を満たしていれば、会社の事業に直接関係しなくても、社員の衣食住やレジャー費などを経費として計上することができます。福利厚生費というのは、会社の従業員の福利厚生などにかける費用です。

この福利厚生費は、実は税法上けっこう広範囲に認められています。健康診断や慰安旅行のみならず、コンサートのチケット、スポーツジムの会費などのレジャー費やアパート、マンションなどの住居費などもOKなのです。はては夜食代や昼食の補助まで適用されるのです。社員(経営者を含む)の衣食住の大半は、福利厚生で賄えるといっても過言ではありません。しかもレジャー費まで、経費で落とせるのです。つまり、福利厚生費をうまく使えば、節税に結びつくと言えるでしょう。

個人事業では福利厚生費は認められない?

会社の場合、福利厚生費をうまく使えば節税につながります。では、個人事業で福利厚生費は認められているのでしょうか。個人事業でも福利厚生費は認められます。従業員を雇っていて、その従業員に福利厚生を施した場合は、会社のときと同じように福利厚生費を計上することができます。

もし、個人事業を営んでいる方が、従業員を雇っていない場合、自分自身に対する福利厚生は経費として認められるでしょうか。これは残念ながらグレーです。現在、国税庁では、「個人事業者は自分に関する福利厚生費を使えない」という指導を行っているようです。

一方で国税庁は、個人タクシーの福利厚生関係の会費を、必要経費に含めていいという通知をしています。「1人(もしくは家族だけ)でやっている個人事業者の福利厚生費は必要経費と認められない」という国税庁の方針は、法律にもないし、判例にもなく、社会通念上もおかしいのです。

しかし、現在のところ国税庁の方針を覆すためには裁判を起こしたりしなくてはならないので、あまり現実的ではありません。自分個人や家族への福利厚生は、経費に計上しないほうが無難だと言えます。

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