今さら聞けない「メタバース」が騒がれている理由 日本企業にとってどんなメリットがあるのか
メタバースとは、たんに商品や情報を購入できるネット上のプラットフォームではなく、モノ(商品)や人を、3D(3次元)で体験できる仮想世界のことを指す。ゲームをしないビデオゲームのようなものと言っていいだろう。フェイスブックからメタに社名を変更した同社マーク・ザッカーバーグCEOは、メタバースを「身体化されたインターネット(embodied internet)」とも表現している。
メタバースという考え方は、完全に新しいものではない。ビジュアルが素晴らしいゲームの多くは、メタバースのプラットフォームを使用している。自分自身のアバターを作って、第二の人生を築くことができる「セカンドライフ(Second Life)」もメタバースの1つだ。
さらに、近年は「Decentraland(ディセントラランド)」「Sandbox(サンドボックス)」「Superworld(スーパーワールド)」といったメタバース・プラットフォームが力をつけている。
持っているだけで意味があるもの
メタバースの特徴の1つは、仮想空間上でデジタル商品を売買できることである。こうしたデジタル商品は「NFT」と呼ばれている。
NFTは仮想世界上にしか存在しないが、通常の有形の商品と同様に取引可能で、Ginco創業者の森川夢佑斗氏の記事「デジタル画像が数億円!『NFTバブル』本当の正体」は、これを理解するために、「利用価値」と「所有価値」を区別している。
「利用価値」とは、購入した商品を利用することによって、購入者にもたらされる利益のこと。例えば、東京に土地を買えば、その敷地に家を建てることも、売ることも、庭をつくることも可能で、利用価値があることは明らかだ。
一方、「所有価値」とは、主にモノを所有することに主眼を置いた価値観を指す。その最たる例が、美術品を買う(所有する)こと。例えば、非常に価値がある絵画を購入したとしても、セキュリティのためその絵を飾らずに、安全な場所に保管するとする。つまり購入者はこの絵画を実際に使用するわけではないが、この絵画は自分が所有しているからこそ価値があるのだと思っている。NFTもこのような感覚で、使うことよりも所有することに価値があるという考え方だ。
では、こうした技術がなぜ重要なになるのだろうか。
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