今さら聞けない「メタバース」が騒がれている理由 日本企業にとってどんなメリットがあるのか

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また、BTSが所属するHYBEや、BLACKPINKを擁するYGエンターテインメントなど韓国大手芸能事務所3社ととソフトバンクは昨年12月、韓国ネイバーの子会社が運営するメタバース・プラットフォーム「ZEPETO(ゼペット」に170億円を出資、世界で2億5000万人の顧客獲得を目指すとしている。ゼペットでは、BLACKPINKのほか、ITZY、SF9はすでにゼペットを通じてファン交流を行っている。

美術館はメタバースを利用するメリット大きい?

公的機関もメタバースへの参入に意欲を見せている。ロシアのサンクトペテルブルクにある国立エルミタージュ美術館の現代美術部門の責任者であるドミトリー・オゼルコフ氏は、近いうちにすべての美術館が、各自のメタバースを持つようになると予測している。

同氏は、2021年11月に開幕したエルミタージュ美術館初のバーチャル展覧会のキュレーターを務めており、このバーチャル展覧会では、デジタルアート作品をNFTという形で展示している。

有形商品を販売する企業であっても(たとえそれが信じがたいことに思えたとしても)、メタバースで成功することは可能だ。実際、メタバースでしか売れないアイテムを販売し、成功する例も少なくない。コカ・コーラが昨年7月にNFTのコレクターズアイテムを制作し、メタバースオークションで販売したのは最も有名な例だ。また、高級ブランドのグッチは、ロブロックスで仮想バッグのオークションを行い、リアル店舗で販売する有形のバッグよりも高い売り上げを達成している。

メタバースは大企業だけのものではない。プロデューサーや開発者、アーティストがメタバース上で直接商品を販売することも可能だ。特にデジタルアーティストは、NFTマーケットプレイス「OpenSea」のようなプラットフォームを利用して、コレクターに自分の作品を販売することで、収益性の高い直接的な販売方法を見つけることができる。

マーケティング手法もメタバース用に新たに開発されている。アメリカのファストフードチェーン、ウェンディーズは、ブランドのマスコットに似たキャラクター(アバター)を制作し、フォートナイトなど有名なオンラインゲームに参入。アバターの冒険はライブ配信され、何十万人もが固唾を飲んで戦いを見守った。

また、ファッション企業も若年層を取り込むためにゲームの世界に参入している。例えば、バレンシアガはフォートナイトとコラボし、ゲームのキャラクターにバレンシアガの服を着せた。バーバリーは、中国のモバイルゲーム「王者栄耀(伝説対決)」とコラボし、ゲームのプレイヤーにバーバリーの衣装を提供した。

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