中国の不動産デベロッパーの資金繰り悪化が、地方政府による土地使用権の払い下げに深刻な影響を与えている。調査会社の中指研究院がまとめたデータによれば、中国全土の300都市で2021年に実施された土地使用権払い下げの総額は5兆6000億元(約100兆6410億円)と、前年比9%減少。2015年以来の連続増加は6年でストップした。
地域別に見ても、過半数の省・自治区・直轄地で払い下げ金が減少している。中堅証券会社の天風証券が1月11日に発表したレポートによれば、中国本土の31の省・自治区・直轄市のうち、2021年の土地使用権の払い下げ金が前年より増加したのは北京市、上海市、天津市の3直轄市と貴州省、江蘇省、浙江省の3省だけだった。
一方、雲南省、新疆ウイグル自治区、黒竜江省、内モンゴル自治区、広西チワン族自治区、山西省、甘粛省、河北省、寧夏回族自治区、江西省、吉林省、河南省、遼寧省の13省・自治区では、払い下げ金が前年より2割以上も減少した。
不動産融資の緩和なければ復調困難
なかでも最も深刻なのが雲南省だ。省内のすべての地域で払い下げが不調に陥り、2021年の省全体の払い下げ金は前年を73%も下回る300億元(約5391億円)に激減。省内で不動産開発が最も活発だった省都の昆明では、払い下げ金の減少率が78.3%に達した。
地方政府にとって、土地使用権の払い下げは極めて重要な財源だ。中国の法律では、地方政府は払い下げ金の3割を中央政府に上納し、残りの7割を自主財源として利用できることになっている。アナリストの推計によれば、払い下げ金が地方政府の歳入に占める比率は30~40%に上り、その4割以上が地元のインフラ建設に投じられてきた。
払い下げ金の大幅な減少は、地方政府の財政難に直結しかねない。だが現時点では、2022年も払い下げが復調する見込みは薄い。「中央政府が(住宅投機の過熱を押さえるために導入した)不動産融資規制を緩和しなければ、2022年の払い下げ金の減少率は全国平均で20%を超えるだろう」。国際的な格付け会社のムーディズは、2021年10月に発表したレポートでそう指摘した。
(財新記者:王婧、周蜜)
※原文の配信は、1月14日
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