トヨタ自動車、「3000万円ボート」の本気度 随所に自動車技術を盛り込んだ”自信作”

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昨年から「レクサス」のオーナーに対する試乗会も始めた

「取締役の中から、マリン事業に対して厳しい意見が出ることもある」と森光宏マリン事業室長は危機感を率直に語る。こうした中、9月からはトヨタ認定の中古艇ビジネスを開始した。中古ビジネスの利幅を狙いつつ、割安な中古艇でユーザーの掘り起こしにつなげる狙いだ。昨年からは「レクサス」のオーナー向けにボートの試乗会も開催している。富裕層が多いレクサスオーナーといえども簡単にボートの販売につながるわけではないが、ドイツ高級車には劣るプレミムなブランド感の醸成には役立つはずだ。

単純な数字だけを考えれば、トヨタがボートを作る意味は薄いかもしれない。しかし、「(一般論として)赤字だからといってやめるのは簡単。だが、未来のパーソナルモビリティの可能性とその知見を本当に捨てていいのか」(森室長)と話す。マリン分野の事業化を検討し始めた当時、社長を務めていたのが豊田章一郎氏だった。無謀と言われた自動車事業をモノにしたトヨタのDNAがマリン事業にも息づいている。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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