トヨタ自動車、「3000万円ボート」の本気度 随所に自動車技術を盛り込んだ”自信作”
国内のレジャー用ボート市場は年間約300隻。トヨタが手がけていない安価なフィッシングボートが多いため、台数ベースではトヨタのシェアはわずか6%にとどまる。4~5割のシェアを握るヤマハ発動機、2位のヤンマーとの差は圧倒的だ。そもそも国内のレジャー用ボート市場は小さく、成長余地も乏しい。同じ乗用車メーカーでは、9月に日産自動車の子会社である日産マリーンが15年3月をめどに船艇やエンジンの販売を終了すると発表。船外機を手がけるホンダも同分野では苦戦している。
トヨタでは11年に全長約12㍍の「PONAM-35」を発売(5820万~5980万円)したが、主力は全長約10㍍の「PONAM-29」(1450 万~2520万円)だ。オプションなどを考慮しても、マリーナ事業を除くマリン事業の売上高20億円には達しない。今回、新発売するPONAM-31の販売目標は年間15隻なので、目標を達成しても5億円程度。連結ベースで25兆円の売り上げを誇るトヨタにとって、ボート事業の取り組みはどのような意味があるのか。
事業展開は国内に”限定”
トップのヤマ発はレジャー用ボートで小型から大型までそろえるほか、ヨット、マリンジェット、さらには船外機、漁船や業務艇など幅広くラインナップしている。海外では米国や中国にも進出している。トヨタも国内だけで事業を拡大するには限界があるが、「海外は今のところ計画にない」(友山常務)という。
マリン事業を開始して間もない1999年には、レクサス用エンジンを積んだレジャー用ボートを米国で販売したことがある。ただ、米国でニーズが高い大型ボートを持たなかったこと、サービス体制の構築などの問題から数年で撤退した。2年前にも米国展開を検討したが、輸送費や関税、サービス体制、ユーザーの好みとラインナップの違いなどから、再進出を見送った経緯がある。
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