悪質広告もある「捨て看板」8割が「不動産」の驚愕 ルールや規制で嘘をつけない仕組みづくりも

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合理的な根拠なく著しく安いという印象を与える表現をしてはならないとされているので、(1)「お買い得物件」はNGだ。また、表示規約では、生活施設は名称を明示して物件までの道路距離を表示することになっている。したがって、(2)「公園至近」の場合は「すみれ公園300m」などと記載しなければならない。(3)「平成29年リノベーション」はどういった内容のリノベーションを実施したのかが記載されていればOKだが、記載がなければNGとなる。

ほかにも、さまざまな表現ルールがあるが、これらは知識のある第三者が見ればすぐに違反とわかってしまうものなので、実際にはそれほど多い事例はないだろう。最も多い違反事例は「おとり広告」といわれるものだ。

最も注意したい「おとり広告」

首都圏不動産公正取引協議会のポータルサイト広告適正化部会によると、2020年度に共有された違反物件情報は、全国で1677物件あり、うち実際には取引できない「おとり広告」に該当するものが571物件を占めたという。年間の違反事例のうち1/3に当たるほど多いということだ。

国土交通省でも、2021年11月に業界団体に宛てて、「おとり広告の禁止に関する注意喚起等について」を通知した。年度末に向けて住宅の取引が活発化することから、改めて注意喚起をしたものだ。

国土交通省の通知では、次のような事例を挙げて注意をしている。

(1)実際には売ったり貸したりする意思のない物件で顧客を誘引して、すでに成約してしまった、突然水漏れが生じたなどの理由で、他の物件を紹介・案内すること(おとり広告)

(2)成約した物件をすぐに広告から削除せず、広告を継続し続けること(おとり広告)

(3)他の物件情報を勝手に改ざんして、実際には存在しない物件を広告すること(虚偽広告)

こうした広告を出す理由は、条件の良い物件の広告を掲載することで、その物件に問い合わせをさせて客を集め、すでに成約してしまった(あるいは何らかの欠陥がある)などと言って、問い合わせた人を別の物件に誘導するためだ。なかには、人気物件で本当に広告してすぐに契約済みになってしまう物件もあるが、条件の良い物件が長くメディアに掲載されている場合は要注意だ。

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