地方移住し「農家の長男」と結婚した彼女のホンネ 都会でバリバリ働く生活からの大胆変化

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しかし、真司さんの第一印象は決してよくなかったと桃子さんは明言する。つまらなさそうな顔をしてほとんどしゃべらなかった。気まずい沈黙を避けたい桃子さんは1人でずーっとしゃべっていたと振り返る。

「でも、私から連絡先交換を申し出ました。せっかくのご縁ですので、と。何もしなかったら紹介してくれたおばちゃんに悪いな、と思ったからです」

ちょっと遅めでも結婚したい人にはこの姿勢が不可欠だと筆者は思う。30代後半以降、会話上手で感じのいい人はすでに結婚していることが多いからだ。第一印象ぐらいで相手を判断していたら縁を育てることはできない。紹介してくれた人、自分と会う時間を割いてくれた相手に感謝をしながら、少なくとも2、3回は会ってみるべきなのだ。

真司さんからの衝撃の告白

「2週間後にいきなりLINEが来ました。『久しぶりです。またゴハンでもどうですか』と。私は夫に全然ピンときてはいなかったけれど、生理的に無理ではないので断る理由もありません。ゴハンぐらいはいいかと思いました」

その帰り道、真司さんは告白をする。今日はもう一度ちゃんと話をして、お付き合いをしてほしいと思って誘ったというのだ。

「思わず、『え! 何で?』と聞いてしまいました(笑)。私の話をつまらなさそうに聞いていたのに、実際は『この人と一緒に農家をできたらいいな』と思いながら黙って聞いていたのだそうです」

このようなコミュニケーションのすれ違いは婚活ではよく起こる。「話すより聞くほうが好き」「自分は聞き上手」などと自任する人に限って、相づちも打たずに無表情で黙っていたりするのだ。仕事や生活で多様な他人と接する機会が少ない人はこの傾向が強い。農家もその典型例かもしれない。

「結婚前提でなければ付き合いたくないけれど、ガンの治療がようやく終わって経過観察中であることも伝えました。ガンが原因で恋人に振られたことも」

すると真司さんは桃子さんの事情は「おばちゃん」からすでに聞いて知っていると答えた。田舎では個人情報などはよくも悪くも「ダダ漏れ」なのだ。そして、桃子さんは見たところは元気そうだし、自分の祖父も肺がんを患ったけれど80代まで元気に天寿を全うしたし、病気は自分も含めて誰もがなりうると真司さんは力説した。

「跡取りはどうするのか、と聞いてみました。私は抗がん剤治療を受ける前に病院の勧めで卵子を4個凍結しています。でも、不妊治療をしても子どもができるのかはわかりません」

一度好きになったらずっと一緒にいたくなる「重い」性格だと自認している桃子さん。誠実そうな真司さんに気持ちが入ってしまう前にすべてを話しておきたいと思った。

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