30代で伸び悩む人が知らずとかかる「呪い」の正体 特定の企業文化や業務に染まりすぎるのは危険
アメリカやヨーロッパでは、ビジネスパーソンが1、2カ月程度の長期休暇をとるというのはよく聞く話です。このように本業から思い切って距離をとって違う日常を送るということにも、もしかしたら似たような効果があるのかもしれません。
ちょっとした環境の変化に伴うミスマッチや、自分についてしまっていた「思考のクセ」は、間断なくそのことに関わり続けていると気づくことができません。
その環境にどっぷり浸かり続けていると、ミスマッチや思考のクセにも自然と適応してしまって、それが当たり前のように感じられてしまうものなのです。
「組織に取り込まれること」に鈍感すぎると損をする
大学生の就職活動を見ていると、ある傾向が見えてきます。
就職先の企業選びに際しては、特定の企業に強い思い入れがある学生ばかりではなく、業種や規模、給与、福利厚生などの条件を吟味しながら数社から数十社をピックアップして採用試験を受けて、内定をとれた企業の中から絞り込んで入社先を決めている学生が多くいます。つまり就活の時点では、多くの企業が「横並び」状態であったわけです。
ところが、入社後半年くらい経って会ったときには、顔を輝かせて、
「わが社は……」
「うちの会社では……」
などと誇らしげに語り出す。すっかり会社に適応しているわけです。そういう様子を見ていると、改めて「すごいな」と感心します。
適応した学生がすごいというよりも、適応させる会社の力に恐れ入るという感じです。愛社精神的なものを新入社員に組み込むためのシステムが存在していることを実感します。
「おまえもうちの会社になじんできて、そろそろ一人前だな」
「らしくなってきたな」
という言葉が社内における褒め言葉になる、ということからも日本企業の染め上げる力の強さを感じます。