30代で伸び悩む人が知らずとかかる「呪い」の正体 特定の企業文化や業務に染まりすぎるのは危険
練習を重ねることは、その環境に自分を「適応させる」ための取り組みです。
「こういうボールが来たら、こういうふうにバットを振る」という思考を働かせずに、身体が動くようにする。そのためには、繰り返しの練習によって「クセ」に見えるほどに習慣づけることが不可欠でしょう。
ただし、「環境対応」のために繰り返し練習して、無意識に反射的に動けるようにすることは、その環境においては最大の強みになるのですが、状況が変わったときには、ずれを生じさせてしまうことがあります。ここに大きな落とし穴があるのです。
この状況の変化というものには、自分の身体も含まれます。年齢が変われば身体も変わり、身体が変われば技術やふるまいもまた変化しなければならないからです。
そこで、「新しく現れた慣れたいこと」に適応しようとすることが、これまでは目覚めていなかった別の能力を向上させ、結果として「もともとやっていたこと」にいい影響を及ぼす、ということは、往々にして起こるものだと思います。
「伸び悩み」から脱却するための「アンラーン」
もう1つ、僕たち人間の特徴として、適応し過ぎると成長が止まる、ということもいわれています。
これもアスリートの例がわかりやすいかもしれません。アスリートは、「クロストレーニング」といって、年に一度、自分の専門とは違った競技のトレーニングを数週間行ないます。たとえば陸上選手であれば水泳や自転車などです。
なぜこんなことをやるかというと、自分の競技からいったん離れて違う競技を行うことで本業の競技が客観的に見えるようになり、より本質を捉えやすくなるからです。結果として本業の競技にプラスになるわけです。
こうした、これまで身につけてきた知識や経験、スキルから距離をとり、客観的に把握することで新たな伸びしろを見出そうというスキルを、「アンラーン」といいます。
定期的に本業とは違うことに本気で取り組んで、「新たに身につけたいこと」に適応しようとすることが、これまでは目覚めていなかった別の能力を向上させ、結果として「もともとやっていたこと」にいい影響を及ぼす、ということは、スポーツ以外でも往々にして起こるものだと思います。