「SNSをなんとなく使っている人」が知らない3盲点 「情報のプロ」も恐れる「ヤバい落とし穴」は?

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SNSでは、「エコーチェンバー」というイヤな用語もある。これは「残響室」という意味で、音が壁などで吸収されずに、いつまでも残りつづける特殊な実験室のことだ。

そこから、同じような信念や考えを持つ人たちが閉鎖的な場所に集まると、お互いに「そうだ! そのとおりだ!」と言い合いつづけて、ひとつの信念だけがどんどん増幅されてしまうことをたとえている。

3つめのSNSの落とし穴は、「『エコーチェンバー』に入ってしまって偏った信念が増幅されること」である。

【3】「エコーチェンバー」で偏った信念が増幅される

自分が信じていたことを「否定」されるのは、つらい。自分が全否定されるように感じてしまうし、それまでの行動がすべてムダになってしまう不安が頭をもたげてくる。

だから、心の片隅で「ひょっとしたら自分は間違っているのかも……」という疑念が生じても、自分のアイデンティティが崩壊する怖さから、「誤った信念」にしがみついてしまうのだ。

この研究によると、「エコーチェンバー」に入ってしまった人には何を忠告してもムダなようである。彼らの信念に反するような記事や動画を教えてあげても、彼ら自身がそれまで信じていたポジションにますます強くしがみつくようになるのだという。

このような人たちは「エコーチェンバー」の外側にいる人の声に耳を傾けることはついぞない。こういう世界に引きずられて呑み込まれてしまうのは、残念ながら愚かなことである。

「人間関係用」と「情報収集用」でSNSを使い分ける

「友人たちからの情報」が偏ってしまわないためには「いい人間関係をつくればいい」という見事に美しい回答もある。しかし、これは現実的ではない。そんなことができる人は、そうは多くないからだ。

普通の人間関係の中で生きている凡人にも可能な方法は、ないのだろうか。答えは、SNSを使い分けて「人間関係用」と「情報収集用」に分離すればいいのだ。「人間関係のためのSNS」と「情報収集のためのSNS」を分けてしまうのである。じつにシンプルである。

SNSをうまく使い分けて「使いこなすスキル」を身につけることで、「偏った情報」に振り回されない「良質な情報」を見極めてほしいと強く思う。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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