「SNSをなんとなく使っている人」が知らない3盲点 「情報のプロ」も恐れる「ヤバい落とし穴」は?
2つめの「SNSの落とし穴」は、「『攻撃』と『擁護』のぶつけ合いで『分断』が広がっていくこと」である。
この10年のあいだに使われるようになったメディアの用語に「オルタナティブ・ファクト」と「ポスト・トゥルース」がある。
「オルタナティブ・ファクト」は「もうひとつの事実」という意味だ。2017年のアメリカのトランプ大統領就任式で、集まった観衆がかなり少なかったのに、ホワイトハウスの報道官がテレビで「過去最大の人々の数」と称賛した。
報道官の嘘をしれっと「もうひとつの事実」として伝えたことから広まったのだが、そこから「嘘も方便」のように事実を捻じ曲げてでも広めるニセニュースのことを「オルタナティブ・ファクト」と呼ぶようになった。
この「オルタナティブ・ファクト」は、じつは日本のSNSでもそこらじゅうに広まっている。「なんでそんな嘘を信じるの?」というような話がたくさんシェアされ、無数に「いいね」され、拡散しているのを日常的に目にする。
「ポスト・トゥルース」は、直訳すると「真実以後」だ。『オックスフォード英語辞典』の編集部が2016年の「今年の言葉」に選んだことで有名になった。編集部によると、定義は「世論を形成する際に、『客観的な事実』よりも、むしろ『感情や個人的信条へのアピール』のほうがより影響力があるような状況」だそうだ。
SNS社会では「情報」さえも「分断」されている
もはや「事実かどうか」などどうでもよく、「自分の政治信条に沿っていれば何でも信じてしまう」人が本当にSNSでも増えている。そういう人にいくら反論しても、たいてい「黙殺」されるか、逆に「罵倒」されたりする。
日本でも、時の政権をひたすら「攻撃」している人と、ひたすら「擁護」している人たちの2つに「分断」され、毎日無限に続くドッジボールみたいに球をぶつけ合っている。
SNSを通して世界はますます「分断」が進み、分断されているどうしでは「見えている光景」がまったく違うものになってしまう。21世紀の社会は、とくに政治や社会、経済などの判断が難しい分野において、情報でさえも「分断」されてしまっているということだ。こういう世界からは、脱出しなければならない。
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