5つのお見合いを終えた、ちあきが言った。
「結婚相談所にいる男性って、なんだかアプリで出会う人たちとちょっと違う気がしました。アプリの男性は、マッチングして最初に会うときの服装もカジュアルだし、ある程度会話ができるコミュ力のある人が多い。でも、相談所の男性って、スーツを着ているせいか雰囲気も固いし、暗いし、話も面白くないというか……」
指摘はさもありなんで、そこが相談所で活動する男性と、アプリで活動する男性の違いだろう。
アプリに登録するタイプは、自分で自分の婚活を仕切れる自信がある人。また、費用が高い相談所よりアプリは安くすむため、経済的な問題も気にならない。プロフィールも大まかにして、年収なども多少盛っていいと考えがちだ。既婚者が独身を装っていることもある。
一方、相談所の男性は、信用のある情報のなかで婚活したいと考えているまじめ気質だし、どこかで仲人の力を借りたいとも思っている。もちろんすべての男性がそうではないのだが、これまで恋愛経験が少なく、出会ってからどう結婚まで進めていけばいいのか不安なので、仲人にその道筋をアドバイスされたいという気持ちもある。
婚活アプリと相談所との決定的な差
こうした傾向は男性に限ったことではないが、こんな違いもあって、アプリの場合、見た目がよくて、女性をその気にさせるコミュ力のある男性は、より多くの女性と付き合うことができる。そして、そうしたなかから見た目も性格もいい、自分に合う女性が出てきたら結婚しようと考えている。
対して相談所は、アプリに比べたらコミュ力が劣る男性が多いかもしれないが、そのなかでも波長が合う男性に出会うことができたら、結婚にまっすぐ向かっていける。ただ、その男性にいつ出会えるかわからないし、出会う前に婚活疲れを起こして、「相談所にいるタイプは、私の理想とは違う」と辞めていく女性もいる。
そんなわけで、相談所での婚活に苦戦していたちあきだったが、あるとき、「相談したいことがあります」と面談にやってきた。
「実は、アプリも退会せずに、相談所の婚活と並行してやっていたんです。それで、2カ月前にアプリで知り合った男性とお付き合いが始まったんです。見た目もタイプだし、話をしていてもすごく楽しい。お付き合いが始まったばかりの頃は、毎週末会っていました。で、3回目のデートのときにドライブに誘われて、車の中でキスをされたんです。それから、彼のことをものすごく好きになっちゃって」
アプリで知り合った男性よしゆき(36歳 仮名)とは、その後、男女の関係になったという。ここ2カ月、まったくお見合いをしていなかったのは、よしゆきの存在があったからのようだ。
ところが、男女の関係になってからというもの、1週間に1度会っていた頻度が、2週間に1度になり、最近では「仕事が忙しくて、なかなか時間が作れない」と言う。毎日のように来ていたLINEも3、4日に1度となり、いつも連絡を入れるのはちあきから。どんどん距離があいていくことを感じ、不安になり、苦しくなった。
「男女の関係になる前に、『お付き合いしてください』とも言われていなかったんでしょう? そんなことをするのは早かったんじゃない?」
こう言う私に、ちあきが反論した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら