コロナ禍で「外での遊び」制限された子の深刻実情 自己肯定感が低下してしまうリスクもある

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コロナ禍での外出自粛は子どもにどんな影響を与えているのでしょうか(写真:ziggy/PIXTA)
新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が日本でも急速に拡大し、「第6波」の襲来がいよいよ現実味を増してきた。間もなく丸2年になるコロナ禍では、とくに子どもたちへの悪影響も懸念されている。
外出の機会は減少し、学校では運動会や修学旅行といった行事が相次いで中止・縮小。学校生活を楽しみながら揉まれていく機会がかなり失われた。そうしたマイナスは、子どもの自己肯定感を下げる要因になっているとも言われる。
子どもたちの遊びはどうなっていくのか。「子どもの置かれた深刻な状況は想像以上」と言う、アソビュー(東京・渋谷)の最高経営責任者・山野智久さんに尋ねた。

子どもの育成環境は非常にネガティブ

レジャー予約サイトを運営するアソビューは2021年5月、子どもを持つ親を対象としたアンケート結果を公表した。それによると、「親の目線からみて外出自粛が子どもに負荷やストレスを与えているか」という問いに対し、回答者5329人の78.9%が「与えている」と答えた。

理由を尋ねると(複数回答)、答えは多い順に「お出かけやレジャー施設へ遊びに行くことの制限」(80.6%)、「行事やイベントごとの中止」(72.9%)、「長時間家にいること」(58.3%)などとなった。

また、文部科学省が昨年9月に公表した「青少年体験活動に関する調査研究」結果によると、2万人の子どもと親を18年間追跡調査した結果として、小学生のころに川遊びや農業体験、スポーツ観戦などの体験活動を多く経験していた子どもは、高校生のときに自尊感情や自分のことを活発だと思う外向性、精神的な回復力などが高くなることが明らかになった。

――アソビューや文科省の調査結果から何が見えるのでしょうか。

山野:長時間、家にいることが子どもにとっていかにストレスか。それがデータとして改めてわかりました。コロナ禍で、遊びに行くことへの制限やイベントの中止が続き、その傾向が顕著になったと思います。

新型コロナによる感染防止のため自粛などの対策はやむをえないことです。でも、子どもが置かれている状況やそれへの不満は、なかなか社会課題として取り上げられません。政治の中心は大人ですが、未来の主役は子どもたちなのに……。子どもの育成環境という観点からみると、非常にネガティブな時代が到来したと言えるのではないでしょうか。

山野智久(やまの・ともひさ)/アソビューCEO。1983年、千葉県生まれ。明治大学法学部在学中にフリーペーパーを創刊。卒業後、リクルート入社。2011年、現アソビューを創業。観光庁アドバイザリーボードなど中央省庁・自治体の各種委員を歴任(写真:本人提供)
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