終点の新王平は島の南端に近い集落で、11時08分に到着。停留所近くに残っていた看板により、かつてはさらに先へ路線が延びて島を一周する系統だったとわかる。時間があるので歩いて進んでみたが、人家もごく少ない地域だった。
気がついたのは、主な集落が丘陵地上にある点。繰り返し津波に襲われてきた三陸の生活の知恵だろう。帰りは大島出張所前11時50分発の気仙沼市立病院行きをつかまえ、12時09分着の鹿折唐桑駅まで乗る。運賃は往路が730円、復路が520円と、民営路線バスらしい値段になった。次に乗る御崎(おさき)線は12時51分発。この日はバス同士の接続がよく、昼食タイムまで取れる順調さであった。
唐桑半島を走る路線バス
御崎線は、気仙沼湾の東側に横たわる唐桑半島を行く路線バスで、8往復が走る。始発は気仙沼市立病院。気仙沼市内のバスは病院や市役所、商業地域にある田谷本郷をターミナルとしており、JR気仙沼駅を通らない系統も多い。気仙沼市役所のすぐ裏にも2022年春、大船渡線BRTの新駅「内湾入口(八日町)」が開業する。気仙沼駅ではなく、こちらを結節点とする方法も考えられよう。
乗り込んだバスは国道45号を走り、只越上で右折して、旧唐桑町(2006年に気仙沼市と合併)の中心部に入る。こちらも主な集落は丘陵地上で、山岳路線の様相を示す。このバスの吊り手は2本の革でVの字に支えられており、これは急カーブが多い路線用の特徴と聞いた。
半島の東側は気仙沼大島の一部とともに、三陸復興国立公園に指定されているが、御崎線自体はやはり生活路線。ところどころで整備された県道を外れて旧道に入る。唐桑半島ビジターセンターに寄り、終点の御崎へ13時31分に到着。ここは御崎神社の門前の広場にバス停があり、860円払って降りる。御崎に着いた後はどういう変化も取れず、14時00分発で来た道を戻るしかない。
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