実はそんなフランスでは2020年暮れの調査で6割がワクチン接種には消極的と答えていたのが、今では2回接種完了者は73.4%、ブースター接種完了者は32.4%が昨年末までに接種している。ブースター接種については年末年始、連日接種に長蛇の列ができている。
最初は抵抗していたIT企業の営業部長をしている筆者の友人のブノワ氏は3回目の接種も最近済ませ、スマホの初期画面を二次元コードにしているくらいだ。「提示が要求される度にアプリを立ち上げるのは面倒だから」と言っている。
強制力のある予防措置が各国で導入されているが…
昨年、欧州諸国で繰り返された外出禁止を含むロックダウン(都市封鎖)は、フランスにおいては法律に基づいた公衆衛生上の非常事態宣言が発出され、強制力を持つ蔓延予防規制措置が実施された。
イタリア、スペインも違反者に罰金を科す非常事態宣言を出し、ロックダウンを行った。ドイツは各州の対応は異なったものの強制力のある法を施行した。イギリスは既存の公衆衛生疾病管理法に2020年に健康保護規則が加えられ、議会承認を経て強制力を持つ予防措置が施行された。
イギリスを含む欧州諸国は国民の行動規制に法的根拠があり、強制力や罰則も設けられている。個人だけでなくレストランやスポーツジム経営者なども対象になっている。
フランスでは年末からパリ首都圏は空港内でマスク着用が再び義務づけられているが、マスク着用の義務化やワクチン接種が義務化された職種の違反者への罰則も存在し、強制力を持っている。すべての管理はデジタル化され、ドイツ語圏では3Gと呼ばれるワクチンパスポートが導入され、個人情報の国家管理を嫌う同国では、政府は国民個々人の情報にアクセスできず、暗号化して管理されている。
にもかかわらず、欧州は全体として日本とは比べものにならない感染者を出し、ワクチン2回接種完了者でも感染する状態が発生している。人々は口々に「このコロナ禍は今後も続く」と言いながらも、ワクチン接種する人、しない人が互いに非難する社会の分断が起きている。
日本より厳しい規制を導入している欧州で、なぜ感染者数が過去最多を更新するほど拡大しているのか。欧州のコロナの感染状況を見て、筆者が個人的に感じることは2つある。
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