落ち着きのない話し振りと、まるで高校生のようなあどけない顔……。ボックスのCEO、アーロン・レヴィは、あらゆる意味で、現代のIT業界の寵児と言っていいだろう。
ボックスは、今、流行のクラウド上でストレージサービスを提供する会社だ。机に向かってデスクトップコンピュータ上で作成したドキュメントを、出先ではラップトップやモバイルで引き出して見る。クラウドにあるから、そこから改訂を加えたり、仕事仲間と共有したりすることも簡単だ。
今はこうしたクラウド上のストレージサービスがないと、仕事の効率もコミュニケーションも鈍ってしまう時代だ。ボックスは、これを企業向けに提供している会社である。
小難しいサービスを、普通の人の感覚で
レヴィが寵児とされる理由は、見かけだけではない。この堅苦しい企業向けIT業界で、ごく普通人の感覚をもって製品やサービス作りをしているからである。「ごく普通人」というのは、使いやすい、わかりやすいという感覚のことである。
とかく、企業向けIT製品、いわゆるエンタープライズ向けソフトウエアというのは、使いにくいことがよく知られている。いや、これまでは使いにくいという意識すらなく、使われ続けてきたといったほうが正しいだろう。
ところが、こうした状況が変わり始めたのは、「BYOD」と呼ばれる動きが高まり始めてからである。3~4年前からのことだ。会社で支給されるおしゃれでない、使いにくいコンピュータに代わって、特にその頃人気を集めていたiPadを仕事に持ち込む社員が増えた。
企業のIT担当者と言えば、それまでは社員に向かってやっていいこと、やってはいけないことなどをクドクドと説得する役目だったのだが、BYOD時代になると社員がやりたいふうにしながら、どうやって社内ITを整えていけばいいのかを考えるような立場に変わった。
実は、このBYODの精神はハードウエアの道具だけではなくて、ソフトウエアにまで浸透してきている。フェイスブックやツイッターで友達とやり取りしている社員は、会社でも同じように即時に、壁なくコミュニケートしたい。かくして、現在の社内コミュニケーションの最も進んだところでは、普通のSNSと同じような仕組みを社内で導入しているのだ。
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