日本の夫は「18時退社夫」に変われるか?

昭和的な専業主婦家庭からの”進化”

家庭参加しつつ、部門のノルマ3割を担う

実際にかかわってみると、育児はとても大変だった。「子どもは夜寝ない。つまり、妻は夜、寝ていないことがわかりました」。それでも子どもがひとりのときは、泊まり出張も多かった。本格的に働き方を変えたのは、第2子が産まれた2011年以降だ。この頃から、18時退社、19時帰宅を本気で目指すようになった。

同僚や上司が午後10時まで会社で仕事をしている中、どのように理解を得たのか。

「核家族で2人子どもがいて大変なので、私がお風呂に入れたりしたい、だから早く帰りたい、とストレートに伝えました」。安藤さんの本を部下に読ませるような先進的な上司。加えて吉原さんの営業成績がよかったこともあり、要望はすんなり通った。

東京出張もこなす多忙な毎日と、家庭参加を両立する

ただし仕事量は減っていない。「むしろ、前より大変になったかもしれません」と吉原さんは苦笑する。勤務先は大手パッケージングメーカーのレンゴー。連結売上高5000億円、単体の社員数約3700人で、そのうち1割弱が営業担当者だ。吉原さんは大手メーカー5社の段ボールを中心とした営業を担当し、年間約35億円の取引に責任を持つ。部門のノルマの約3割を担う計算になる。

具体的には、顧客の資材部を訪問し、段ボールの大きさや入れ方、形式と価格について打ち合わせを行い、その情報を社内の関係部署や工場に伝えて製造手配を行うのが、吉原さんの担当業務だ。

「段ボール業界は競争が激しく、その中で競い勝っていくには、お客様により多くの付加価値を提供する必要があります。そのため、たとえば缶コーヒーの缶のデザインを弊社が行うなど、段ボール以外のデザインについても提案を行うことがあります。お客様の商品が売れてくれれば、それを包む段ボールも売れるので、お客様の商品が売れるためのお手伝いは何でもするという姿勢で、クリエーティブ営業のような面もあります」

競争が厳しい中、より高い価値を提供できるよう知恵を絞る。時間も使う。数字のノルマはきつい。家庭の事情を理由にした業務軽減がないとしたら、どうやって成果を上げ続けることができるのだろう。

ひとつの答えは自宅での空き時間の活用だ。19時に帰宅した後も、吉原さんは随時メールをチェックし、すぐに対応が必要なものにはその場で返信する。帰宅後から翌朝まで、およそ20件のメールが入るという。朝は同僚よりも30分早く出社し、仕事に取りかかる。

「営業の実績は数値化できます。成果を厳しく問われるのは大変な一方で、夜遅くまで会社にいなくても成果を出せるよう、働き方を工夫する余地があるのは、私のような家族持ちにはありがたい」

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