しかし、火山の専門家からは、規制委の判断を根底から否定するような厳しい批判が相次いでいる。
規制委が火山審査後に設置した、モニタリング方法を検討する有識者会合では、「現在の火山学では噴火の時期や規模を予知するのは極めて困難」(中田節也・東京大学地震研究所教授)と、予知やモニタリングの限界が指摘された。
また、巨大噴火の可能性が十分に小さく、モニタリングが可能とする根拠とされた海外の論文(ドルイット論文)について火山噴火予知連合会会長の藤井敏嗣・東京大学名誉教授は、「カルデラ噴火一般について述べたものではない。これは執筆者本人にも確認した」と指摘。ドルイット論文という一例を、川内原発周辺を含めたカルデラ一般に適用しようとする、九電や規制委の判断根拠に疑念を示した。
藤井氏は、巨大噴火に至るような状況ではないとした規制委の判断内容に関し、「いくつか疑義があるが、そのことについてもこの検討チームの中で議論するのか」と質問。
これに対して規制委の島崎邦彦委員長代理は、「そこまでさかのぼって全部ひっくり返してしまうと、この検討チーム自体が成り立たなくなる」と、慌てたように否定。専門家と規制委の認識のギャップを象徴するような一幕だった。
この有識者会合のメンバーではないが、火山地質学が専門の高橋正樹・日本大学文理学部地球システム科学科教授は、規制委が作った火山ガイドにおいて、階段ダイヤグラムという手法で噴火ステージを判断でき、地殻変動などのモニタリングによって巨大噴火も予測できるとしている前提を疑問視。「規制委はできもしないことをできるかのように扱っており、科学的とはいえない。新たな安全神話をつくるようなことがあってはならない」と警告する。
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