「世界中の子どもに初等教育」という難題

貧困層を、無限の悪循環から脱出させよ

高等教育を受ける者の割合がこんなに低くては、次世代を教育する質の高い教師を雇うことができない。十分な訓練を受けた医療従事者を医療機関に配置することも難しい。その結果、不十分な教育、不健康、失業、貧困という無限の悪循環が、いつまでも続くことになる。

現在アフリカで最も進んだ国とされている南アフリカですら、大学教育を受ける若年成人の割合は、45年時点でもたかだか10%程度だと予測される。

インドのような主要な新興国ですら、10年から45年の伸びはわずか11%と見込まれ、やっと23%に達するにすぎない。インドの高等教育制度は世界的に高く評価されているのに、随分低い水準だ。一方、シンガポール、韓国、日本では、大学教育を受ける若年成人の割合は80~90%に達すると予測される。

協調・努力なければ、ますます不均衡に

経済が発展し技術が進歩すれば、すべての国民に機会が拡大する、という推定は、希望的観測にすぎない。実際には、協調して努力しないかぎり、教育機会(そして経済機会)の分配は、今後ますます不均衡なものとなるだろう。

しかし本当の隔たりは、教育を受けた人々と受けていない人々との間にあるのではない。教育を受ける機会に恵まれた人々と、そうでない人々との間にあるのだ。長年置き去りにされてきた人たちは、すべての人々の教育を受ける基本権が尊重されるまで、各国政府や国際機関に圧力をかけ続けるだろう。運動の次の舞台は、ニューヨークで開催される国連総会だ。各国から何百人という若い人々が結集し、世界の指導者たちに改革を要求することになりそうだ。

世界中で教育への関心が高まっている今日、国際社会は、世界中のすべての子どもに教育への門戸を開くよう、あらためて確約しなければならない。

週刊東洋経済2014年9月20日号

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