ソニーの”顔”、スマホ失速の衝撃 最終大赤字で上場来初の無配転落
すでにソニーは、パソコン事業を投資ファンドに譲渡し、テレビ事業も7月に分社化。販売会社や本社の人員削減にも手をつける計画で、「今年こそ構造改革をやり切る」(平井社長)と強調していた。
だが、課題の事業にメスを入れ、一方で成長の牽引役となるはずだったスマホが失速。「今後も(スマホは)ゲーム、イメージングと並んで、大事な位置付け」(平井社長)とする。が、たとえ先進国向けのハイエンドモデルに絞り込んだとしても、それで業績回復の牽引役になれるのか。成長シナリオの大胆な見直しは避けられそうにない。
1000人規模で人員を削減
ソニーは今回、モバイル分野で、1000人規模の人員削減を実施するとも発表。ただ業績下方修正の要因は営業権減損のみだった。つまり10月の決算発表では、人員減に伴う構造改革費用を追加で折り込むことが見込まれ、そうなれば、さらなる業績の下振れは必至だ。
さらには大幅下方修正を受けて、2015年3月期の年間配当を、当初の「未定」から「無配」へと見直した。無配は1958年の上場以来、ソニー初めてのことだ。
「コンテンツとハードを組み合わせて感動体験を提供する。その姿勢は変わらない」。会見で平井社長はそう強調したが、その体験をいかに業績回復に結び付けられるのか。経営者として残された時間は少ない。
(撮影:尾形文繁)
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