ソニーの”顔”、スマホ失速の衝撃 最終大赤字で上場来初の無配転落
9月17日、ソニーはスマホなどモバイルの不振を理由に、同事業を手掛ける子会社のソニーモバイルコミュニケーションズの営業権を全額減損し、2015年3月期の最終赤字を500億円から2300億円へ下方修正すると発表した。ソニーは2012年2月に旧ソニーエリクソンを完全子会社化しており、その際のスマホ事業の収益見通しと現状が大幅に食い違ったことになる。
「1800億円の下方修正の規模には正直驚いた」(あるアナリスト)。市場の想定を上回るほど、ソニーのスマホが不振に陥った背景にあるのは、競合する新興勢力の台頭だ。
競争環境の変化に対応できず
「中国のスマホメーカーが飛躍的に躍進し、中国以外の市場にも出てきている」。平井社長は会見の席でそう述べ、「競争環境の変化に対応するオペレーションができていなかった」と反省を口にした。
17日の会見では具体的な地域こそ明かさなかったが、すでに7月の第1四半期(4~6月期)決算発表時に、ソニーはモバイル事業の年間計画を下方修正している。その際には中国と南米市場で、特に販売が落ち込んでいる状況を説明していた。つまり、「Xperia Z」シリーズなどのハイエンドモデルというより、新興国を中心にして、普及価格帯の製品が格安スマホに侵食されているというのが、スマホ不振の実情である。
ソニーにとって、将来性ある頼みのスマホが苦戦することの打撃は、より大きい。これまでも業績の下方修正を繰り返してきたが、その理由はテレビやパソコンなど不採算事業の構造改革の遅れが中心だったからだ。
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