実録!35歳以上さんの「理想の伴侶探し」 MAX上がり切った結婚の条件を下げるか、貫くか

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

親近感という単語は、大学の同級生と結婚した僕も納得できる。進学先と就職先が自分と似た相手とは、仕事や日常生活での価値観と会話で使う言葉などが共通していることが多く、共に暮らすうえで我慢や説得を必要とする局面が少ない。はっきり言って「すごく楽」だ。海外を含めた転居が珍しくない現代においては、国籍や出身地よりも、家庭や学校での教育歴および職歴のほうが結婚相手との「親近感」を覚えやすいのかもしれない。

名刺交換をすると、信一さんは綾子さんが所属する超大手企業の社名にも引く様子はなく、「民間企業でバリバリ働く女性と個人的に話したのは初めてです」と理系男子らしい感想を述べた。帰りの飛行機で、友人から「あなたには彼みたいな穏やかな人が向いている」と激励されたという。

「この人なら、終電を逃してもいいかな」

帰国した綾子さんはさっそく信一さんにメールを送った。信一さんからもすぐに返信があり、食事のお誘いがあった。

「お店は主人(信一さん)が予約してくれたのですが、渋谷のさえないチェーン店でした。『ああ、理系の男性はこういう店を選んじゃうよね』とは思いましたが、主人とは妙にウマが合ったのです。私はお酒が飲めないのに閉店時間まで居座って、もう1軒行くことにしました。きまじめな私は終電を逃すことはないのに、『今日はタクシーで帰ればいいかな』と」

もちろん、お泊りをするようなことはなく、明け方にそれぞれがタクシーで帰宅した。翌日の日曜日も会い、さらに次の週末にも会った。そこで彼から「付き合いましょう」と言ってもらえた。

「主人は『断られる気がしなかった』そうです。私も自然と『そうだよね』と思いました。簡単に付き合えちゃうこともあるんですね」

その勢いですぐに婚約、というわけにはいかなかった。綾子さんによれば、信一さんのマイペースさは突き抜けており、「常人のものではない」という。

35歳になっていた綾子さんは1日でも早く結婚したかった。結婚願望が皆無の信一さんと付き合ってからも結婚相談所への登録を解除せず、1件だけお見合いをした。信一さんを嫉妬させてプロポーズさせる意図はなく、「もしかするといい人と出会えるかもしれない。可能性は広げておいたほうがいい」という判断だった。一応、彼にも事前に話したところ、「はーい。わかった」と超然とした対応。呆れた綾子さんはお見合いをしたが、信一さんを上回るような相手ではなかった。

次ページ義母のナイスプレー
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事