「身近な人への忠告」ほど難しいものはない “世界一愛情深い家政婦”になるべし

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こうした「いやおうなく何度も顔を合わさなければならない人」への感情をコントロールしながら関わるということは、心理学的にもなかなかハイレベルな課題といえます。

赤の他人や、職場の同僚ぐらいの距離感であれば仲良く日々を過ごすことができている人でも、正月に実家に帰って両親と3日間過ごすだけで、イライラがつのって、ストレスでヘトヘトになってしまうという人も多いはずです。

「身近な人間関係」がもたらすストレスというのは、それだけ強いものなのです。

僕らはみな互いに「影響を与えたい」と思っている

なぜ「身近な人間関係」が高いストレスをもたらすのか。その原因のひとつに、僕らがどうしても、身近な相手を変えたい、コントロールしたい、という強い欲望を抱いてしまうから、ということがあります。

もちろん、「人に影響を与えたい」というのは、僕ら人間が持っている、かなり根源的な欲求のひとつであり、また、その欲求そのものは必ずしも否定すべきものではありません。

仏教では「他人に影響を与えたい」というのは欲であり、煩悩だと考えますが、それと同時に「煩悩即菩提」という言い方もある。これは、「人に影響を与えたいという煩悩があるからこそ、菩提(悟りの境地)への道が開かれる」ということですね。

煩悩即菩提というのは非常に矛盾したことを言っているように聞こえるかもしれませんが、現実の人間関係を見ていると、そういうことはしばしば起きているように僕は感じます。

僕なりに解釈するなら、これはたぶん、「人に影響を与えたい」という欲そのものは全否定すべきものではないけれど、その欲求をそのままの形でぶつけても、必ずしも功を奏しないよ、という教えなのだと思います。

例えば子育てでいえば、子どもの成長を願わない親はいませんし、その「欲」は当然、否定すべきものではないはずです。しかし、その「欲」をそのまま実践してるだけでは、子どもの成長をかえって邪魔してしまうこともある。

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