現在では、一般ユーザーたちが自分の売りたいものを掲示したり、一般の小売店がネット上で店を持つことを可能にしたりするサービスなどを加え、アリババはインターネットのコングロマリットにも成長した。中国では知らない人がいないブランドだ。社員は2万人を超える。
そんなアリババだが、創業前にマーがシリコンバレーを訪れ、ベンチャーキャピタリストに投資話を持ちかけた際には、誰一人として興味を示さなかったという。
「けれども、僕はアメリカンドリームを持ち帰った」とマーは語る。そして、まさにそのアメリカンドリームを中国で実現した。「今日は苦しい、明日も大変。けれどもあさってになれば、きっといいことが起こるんだ」というのが、マーの信条だ。
僕らはワニ。河にいるかぎりはサメに勝つ
そんな彼の頑張りとユニークな戦略を示すエピソードがある。それは2003年、一般ユーザー同士がモノの売買をするインターネットサイト、タオバオを始めたときの話だ。
すでに同様のサービスを始めていたアメリカのイーベイは、中国でも80%以上のシェアを保持。マーは、イーベイへの挑戦をこう宣言した。「イーベイは大洋で泳ぐサメ。タオバオは揚子江にいるワニ。大洋で闘えば負けるかもしれないが、河にいるかぎり勝つ」。
そうしたカッコいいせりふでメディアの注目を集め、さらに中国人の心を知り尽くした強みを武器に、タオバオは利用料金を無料にしてアピール。4年後にはイーベイのシェアは8%以下まで下がり、とうとう中国から撤退した。
外国人と話したい一心で、ボランティアをした幼少期
1964年に杭州に生まれたマーは、小さい頃から英語にあこがれていたという。アメリカのラジオ放送のボイス・オブ・アメリカに耳を傾け、外国人と話したい一心で、遠くのホテルまで自転車で通い、無料で旅行ガイドを務めていた。
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