丸亀製麺が掲げる「世界5500店計画」に潜むリスク 過去のFC展開では意見が対立し訴訟に発展

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2021年4~9月期のトリドールの売上高は766億円(前年同期比21%増)、時短協力金などの政府補助金を除いた事業利益は39億円(前年同期は35億円の赤字)だった。回復の牽引役となっているのが国内を主戦場とする丸亀製麺だ。同事業の売上高はトリドール全体のおよそ6割強を占める。

収益の安定している郊外ロードサイド店舗が売り上げを下支えしたほか、2020年頃から強化しているテイクアウト販売が貢献。2021年11月の丸亀製麺の既存店売上高も、2019年度比で5%減と底堅く推移している。

なかでも好調なのがテイクアウト専用商品の「丸亀うどん弁当」だ。2021年4月から販売を開始したところ、税込み価格390円という低価格が支持され、累計販売数1500万食を超える大ヒットとなった。2021年4~9月期の丸亀製麺の売上高の10.7%はうどん弁当が占めている。

海外事業には課題も残る

こうして国内の丸亀製麺で稼いだキャッシュを成長投資にまわす考えだ。同社は中計期間中に、国内外で最大1000億円のM&A枠を設定している。

ただ、成長ドライバーとして期待される海外事業には課題も残る。トリドールの海外事業は香港の外食子会社であるタムジャイ・インターナショナルに大きく依存している。2021年3月期の海外事業の売上高312億円のうち、タムジャイの売上高がおよそ8割を占めており、現状では他業態の育成は途上だ。

中計期間中の6年間で、丸亀製麺を筆頭とする複数ブランドのFC店舗3200店を海外展開する方針だ。同社の2021年9月末時点での同社の自己資本比率は22%と決して高くはない。出店などにかかるコストを考えると、直営店の大量展開は難しい。

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