丸亀製麺が掲げる「世界5500店計画」に潜むリスク 過去のFC展開では意見が対立し訴訟に発展

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一方で、別の外食企業の幹部は「訴訟リスクを考えると安易にFC展開なんてできない」とこぼす。実際、トリドールも2020年7月にFC契約を解除したタイのフランチャイジーに対して貸金返還請求訴訟を提起している。

トリドールは店舗での体験価値の提供にこだわっている。例えば、丸亀製麺では粉から打ち立てのうどん麺を提供しており、「麺職人」と呼ばれる専門人材が各店舗の調理工程を監修している。こうしたこだわりをFC店舗においても維持できなければ、ブランドの毀損につながりかねない。

過去の海外フランチャイジーとの契約解除も、そうしたブランド維持をめぐり意見が一致しなかったとみられる。トリドール幹部は「海外展開に前のめりになってしまい、方向性や考えが一致しないフランチャイジーとも契約してしまった。とにかく調査不足だった」と反省する。

失敗をどこまで活かせるかがカギ

今後トリドールは現地パートナー企業の厳選をする構えだが、急拡大の中でそうした失敗をどこまで活かせるかがカギとなるだろう。FC店舗を統括できるような人材も不可欠だ。

トリドールの杉山執行役員は「適切なフランチャイジーを探す目利き力に加え、FC店舗の運営を指導し管理する力、など高度なノウハウを持った人材がさらに必要だ」と語る。急拡大に人員体制が追いつかなければFC店舗の収益性やブランドの維持もおろそかになりかねない。

トリドールの粟田社長は「緻密な戦略に基づき海外展開を推進する。一進一退だった過去10年間とはまったく違う事業展開になる」と語るが、ハードルの高い数値目標は実態に即さない事業展開につながる危険性もある。急速な出店に社内体制が追いつくのか。トリドールの実力が問われている。

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