久しぶりの「飲み会復帰」に潜む意外な落とし穴 いきなり酒に弱くなったと感じたら要注意

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笑っている場合ではない。この年末年始の久々の飲み会で、誰にでも可能性があるシーンだ。酒をやめた、酒を減らしたと言っても、大抵の人が1年程度。それでも一定期間お酒を飲まないでいると、人はお酒に弱くなってしまうものなのか。順天堂大学大学院医学研究科・消化器内科学教授の池嶋健一さんはこう言う。

「人にもよりますが、お酒は鍛えると強くなるという話は、あながち嘘でもありません。アルコールを体内で分解する酵素のいくつかが、アルコールを繰り返し飲むことで増えることがあるからです。ただし、そうして一度酒に強くなっても、それがずっと続くというわけではありません。もともとお酒に弱い人が、繰り返し飲むことで酵素が増えて強くなったように見えても、しばらく休むと酵素は減って、元の酒に弱い状態に戻ってしまうのです」

若い頃、飲酒ですぐに顔が赤くなっていた人も、いつのまにか顔色ひとつ変えなくなることがあるのは、そのアルコール代謝酵素が増えたせいだという。ならばまた一から飲酒の“訓練”を始めればいい……と考えてはいけない。実はこの“訓練”には、大きな落とし穴があるのだ。

「お酒が弱い人」の特徴

と、その前にここで、酒に強い人がいる一方で、弱い人がいるのはなぜかをおさらいしてみよう。

アルコールは体内に入ると、まずは肝臓で代謝されてアセトアルデヒドという物質になる。この物質は毒性が強く、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気を催したり有害な症状を引き起こす。

このままだとわざわざつらい思いをするためにお酒を飲む人なんていないはずだが、多くの人ではこのあと有害なアセトアルデヒドを分解する酵素が働いて、ほとんど無害な酢酸に変えてくれる。こうして、お酒がこんなにも多くの人に愛されるようになったわけだ。

ただしアセトアルデヒドを分解する能力は人それぞれ。遺伝によってこの分解の能力が決まるほか、体重や性別、年齢によっても違いがある。特に日本人は欧米人に比べて、アセトアルデヒドを活発に分解できない人が多く、まったく分解できない人やあまり分解できない人、つまりお酒を飲むと、何らかの不調を感じることのある人の割合は4割以上に上る。

そこで、前出の「落とし穴」だ。

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