「真剣に離婚を考えた」夫が今も妻を支える理由 「歩いて帰ってきなよ」が変えた夫婦関係

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そんな妻に対して今、杉山さんが抱いているのは、そのままでいてほしいという気持ちである。

「今も思っているし、しばらくは変わらないと思っているのは『我が道を進んでいただきたい。このままでいてほしい』ということ。世の中の普通とか常識とか、そういうものに変に影響されて何かをしようとしなくていい。彼女自身の存在を認めるということを、僕はすごく大事にしているんです。そのために僕ができることはやりたい。そこが一番、パートナーシップの根幹かもしれないですね」

「家事や育児は、誰がやってもいい」

かつては「普通の妻」「普通の女性」像を無意識のうちに持っていたという杉山さんだが、さまざまな出来事を経た今では「家事や育児は、誰がやってもいいことだと思うんです」と述べる。同じ家族の一員なのだから、男女という性別で分ける必要はない、という考えなのだろう。

しかし、兼業主夫という生き方に理解がなかった時代を過ごした経験が、NPO活動やメディア運営などへの原動力になっているのも事実だ。

「昔は男が育児をしていることに対して、世間からよくわからない圧力・向かい風を感じることは多々ありました。主夫だとわかると『仕事を諦めたんですね』『奥さんに家事もさせられないんですね』みたいな、寒々しい反応をされることがあったんです」

仕事だけでなく、家事や育児にもフルコミットする夫を取材する本連載。しかし、杉山さんには、やや気恥ずかしいところもあるようだ。

「全然、褒められるような夫じゃないんですよ。例えば、掃除や片付けは、結構雑だったりします。『60点超えたらいっか』って考えなので。あと、二日酔いはしょっちゅうありますし、そんなときの料理は最低限のものを作って『ごめん、ここまでで許して』って二度寝することもありますからね」

今後も杉山さんは、これまでどおり家庭にフルコミットしつつ、他のパパたちの道標のひとつになっていくに違いない。

二宮 大樹 ライター

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Daiki Ninomya

会社員兼ライター。仕事と家事育児の両立を目指し、「頑張りすぎない程度に、頑張る」を目標に日々奮闘中。

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