1968年、ビートルズに聞こえ始めた解散への足音 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter35

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そこで彼は、長年守られてきたバンドの掟――レコーディング中のスタジオには妻やガールフレンドを連れ込まない、というルールを、破ることにしたのである。

「50年くらい経ったら」

ヨーコがスタジオに来るようになったときのことを、ジョージは「彼女はただ、当たり前のことのようにスタジオに入ってきた」と描写している。そして、ポールやリンゴ、ジョージ・マーティン、スタジオ・エンジニアたちも、同じ印象を抱いていた。

その中でだれよりも理解を示したのは、ポールだった。

「別に最悪の事態ってわけじゃないよ」とポールは言った。

「若い2人を、一緒にいさせてやろうじゃないか」

だがそのポールでさえ、ピリピリした空気に気圧されて、こんな冗談を言わずにいられなかった。

「50年くらい経ったら、めちゃくちゃ笑える話になるんじゃないかな。『ビートルズ解散の原因は、ヨーコがアンプに腰掛けたことだった!』なんてさ」

レコーディングは、ジョンの「レボリューション(Revolution)」のブルージーなアコースティック・バージョンから始まった。アルバムには「レボリューション1(Revolution1)」として収録されたこの曲を、シングルとしてリリースしたいとジョンは考えていたのだ。

だがポールとジョージは、アルバム版はテンポがスローすぎると判断し、シングル・カット用にエレキ・ギターが唸る別バージョンを録音し直すことを決めた。レコーディングが始まり、ジョンはフル・ボリュームでエレキ・ギターをかき鳴らしたが、それでも目指すサウンドには程遠かった。

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