意外と長い還暦からの8万時間超、迎える前の心得 「自立」と「貢献」を組み合わせて考えてみる

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60歳を「第二の成人」と位置づけている藤原和博氏の話を紹介します(写真:jessie/PIXTA)
人生100年時代、「60歳は第二の成人だ」と言うのは藤原和博氏です。「例えば平均寿命が84歳として、60~74歳の自由時間を1日に11時間あるとし、75歳から84歳の自由時間を1日に5.5時間あると計算すると、還暦からの自由時間は8万時間をラクに超えます」(藤原氏)。ではこの時間をどう使えばいいのでしょうか――。「お金」「家族」、そして「死」について向き合った、『60歳からの教科書』より、一部抜粋し再構成のうえそのヒントを探ります。

第二の成人としての心構え

「お金」「家族」、そして「死」。いずれも60歳を「第二の成人」と位置づけるにあたり、避けては通れないテーマです。本稿でお伝えするのは、その場所に「旗を立てる」ための心構え。ひと言で言えば、「自立貢献」です。

「自立」も「貢献」も日常会話によく出てくる一般的な言葉ですが、私はこの2つの単語を組み合わせることで、大きな意味が生まれてくると考えています。さっそく、説明していきましょう。

突然ですが、赤ん坊だった頃の自分を想像してみてください。泣いてますか? 泣いてますよねえ。なにしろ生まれたばかりの赤ん坊は言葉を話せませんから。

オシッコやウンチをしてお尻が気持ち悪くなったり、おなかが減ったり……。それでも、理路整然と他人に言葉で訴えることができません。不快になったら、大声で泣く。嬉しかったら、全身で笑う。そうすることで、赤ちゃんは自分の意思を保護者に伝えます。

そして次第に、「声をあげて泣くと、お母さんやお父さんが助けに来てくれる」ことを赤ちゃんは学んでいきます。幼児期に両親や祖父母に大事に育てられることによって、赤ちゃんは「全能感」を自然に抱けるようになるのです。

「全能感」とは、「自分は何でもできる」「世界は自分を中心に回っている」という感覚のことです。

しかし成長するにつれて、その全能感は徐々に目減りしていきます。幼児期の後半から小学校へ入学する頃には、「どうも世の中は自分の思い通りにはならないぞ」ということを理解し始めます。快晴になるはずだった遠足の日が雨になったり、異性にちょっとイジワルをして気を引こうとしても、ちっとも効果がなかったり。

「世界は自分を中心に回っているわけではない」

その事実に、気づき始めるのです。

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