社会人10年目「痛い中堅」にならないための心構え 行動を伴わない指摘はただの「愚痴」である

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会社の方針に疑問を持ち始めたときに、次にあなたがどういう対応をするかで、のちのキャリアが決まってくる、と考えてみてください。

悩み2:今の会社はブランドがあるので捨てるのが惜しい

多分それは今だけと思ったほうがいいです。

「エンゲージメント調査」というものをご存じでしょうか。会社が従業員に対して行う調査のひとつで、所属している会社の方針に従業員がどれだけ賛同しているかを測る指標として活用されます。

エンゲージメントのスコアが高ければ、その会社に所属することを前向きに捉えていて、低ければあまりその会社にいたいと思っていない、という解釈ができます。

リーマンショック以後、世界中の多くの会社で活用されるようになりましたが、世界の大手の調査会社のどの結果を見ても、国別で比較すると、日本の従業員のエンゲージメントスコアの異常な低さが目立ちます。

この結果についてさまざまな解釈がなされていますが、私は端的に「いやなのに、やめない」という日本人のメンタリティーがあるからだと考えています。

そして、やめない理由の大きな部分として「ブランドがある会社に所属しているから」「我慢していれば、そこそこいい給料が入ってくるから」という発想があります。

この考え方は、処世術としてはありうると思いますが、長い目で見たときのキャリア戦略として取るべき選択肢かというと、答えはNOでしょう。

今、みなさんが所属している企業が知名度の高い、いわゆる大企業ブランドをもった組織であったとして、その効果が10年、20年続く保証はありません。この手の話はよく耳にするので「またか」と思うかもしれませんが、それだけにこれは真実です。

私は四半世紀のあいだ社会人をやり、さまざまな組織に所属してきました。その間さまざまな毀誉褒貶を見てきました。

たとえば、私が就職活動をしていた20世紀末に存在していた、就職人気企業や「優良」企業であった銀行、証券、保険、消費者金融各社は同じ名前で残っている会社はごくごくわずかです。何らかの形で再編の対象になっています。

世界のトップに君臨していた製鉄会社や広告代理店などもポジションが変わったり、製薬会社や通信キャリアなどもまったく違った業界地図になったりしています。外資の資本を受け入れた自動車会社も複数あり、倒産の憂き目にあった大手の旅客運輸会社や大手流通小売の会社などもありました。

長くなるので社名は記載しませんでしたが、本当にすばらしいブランドの大手企業ばかりです。20世紀末の時点で、現在の状態になると想像できていた人は皆無に等しいでしょう。ブランドを持っていなかったそのほかの多くの会社の動きは、もっと乱高下しています。

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