楽天は、なぜ「1000億円M&A」を決めたのか? 三木谷浩史会長兼社長が語る戦略の核心
山田:オープン化ということでは、楽天スーパーポイントも今、リアルな店舗にも拡げていこうとしている。日本のポイントとEbatesのキャッシュバックは似ていますよね。
三木谷:似ています。ただ、アメリカの皆さんはやっぱりキャッシュバックが好きらしいんですね。ペーパー製の大きなクーポンをみて、「紙を出力するコストが高いのではないか」と思ったんですが、実はびっくりするくらい安いんです。だから、成り立つ。しかもアメリカでは、ペーパーのクーポンをペタペタと冷蔵庫に貼るのが好きな人が多いようなんです。
だから全部ポイントに切り替えるのは現実的ではない。そこで、希望すれば楽天スーパーポイントにもできますよ、という具合に始めればいいと思う。スーパーポイントは次のショッピングの時にバーンと使えるよ、と。そういう形にしてあげると、何十%の人はそっちに行くかもしれない。これはやってみないと分からない。今や、自分の先入観にとらわれて、打ち手を決める時代は終わったという風にも思っているんですよね。
データで判断をする時代になった
山田:やってみて、データをチェックすれば、おのずと次の打ち手も決まってくる、と。それを素早く回していくことが重要なわけですね。
三木谷:データとコンシューマーの行動を見ながら、それに合わせた戦略を考えていく。品揃えとサービスのラインナップを揃えた上で、あとはデータでもって判断する時代に、完全に入ったと思います。
山田:Ebatesのケビン・ジョンソンCEOはIPOをしようと考えていた。それを聞いた三木谷さんが、「いやIPOをするぐらいだったら組んだほうがいいんじゃないの?」と誘ったわけですよね。
三木谷:Ebatesとはこれまでも取引があった。ケビンも私も、同じようなことをずっと考えてきたんです。アメリカでどうやってやればいいかな、といろいろ考えていた時に、たしか風呂に入ってる時に思いついた(笑)。そうだ、一緒になってしまえばいい、と。それでケビンに打診をしたら、いや実はもうIPOの準備に入っているという話だった。
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